研究実績の概要 |
最終年度では、平成27年度に開催した国際シンポジウム「女性教育史研究とトランスナショナリズム」および平成28年度におけるその総括と学術雑誌での公表(ジョイス・グッドマン教授基調講演の翻訳、シンポジウム全体の報告記事等)を基礎に研究を発展させた。第一は欧米大学間における女性教員の交流と連携について、第二は英・米・日の三国間における女子留学生の動向についてである。 第一に関して、イギリスでの調査を実施した。ケンブリッジ大学のガートンとニューナムの両カレッジの図書館では、20世紀初頭のアメリカの女子大学とケンブリッジ大学女子カレッジとのコネクション、および国際大学女性連盟の活動について調査した。オックスフォード大学図書館では、日本の化学者黒田チカの留学に関連する資料を調査した。 第二に関して、佐々木啓子(日本女性高等教育史)、中込さやか(イギリス女子教育史)、内山由理(イギリス教育史)と共同研究活動を展開し、戦前期日本の女性の留学に関する文献調査を国内の大学図書館等で実施した。米英に留学した女性たちのデータを収集するとともに、大江スミ(家政学)、上代タノ(英文学)、黒田チカ(化学)を事例に取り上げ、女子高等教育における米・英・日の影響関係と人的ネットワークの内容を分析した。その成果を平成29年度比較教育社会史研究会春季例会において、「比較女性教育史研究の可能性を探るージェンダー、トランスナショナリズム、ネットワーク」というテーマのもとで発表した。 また海外学術雑誌Espacio,Tiempo y Educacionに、共著論文Transnational Network of Japanese Women Academics during the late 19th and the early 20th Centuryを投稿したが、研究期間内の掲載はかなわなかった。
|