研究課題/領域番号 |
15K04274
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研究機関 | 名寄市立大学 |
研究代表者 |
三井 登 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50455002)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視力対策 / 航空兵力 / 健兵健民政策 / 学校身体検査規程 / 海軍志願者身体検査規則 |
研究実績の概要 |
本年度は、戦時下における航空兵力増強のための視力増強並びに近視予防対策(国民学校児童を対象に)に関係する資料を収集し、予防対策の基礎的解明を進めた。主な調査先は、国立国会図書館、国立教育政策研究所教育図書館、北海道大学附属図書館、北海道大学医学部図書館、防衛研究所戦史研究センター資料閲覧室であった。 1、国立教育政策所教育図書館所蔵重田定正文書に所蔵してある学校衛生関係の視力対策に関連する行政文書の収集、国会図書館、北海道大学医学部図書館に所蔵してある衛生関係雑誌の収集をとおして、海軍省から厚生省、文部省に対する視力対策の要求を明らかにした。2、学校における視力対策について、1944年5月の学校身体検査規程改正とその後の文部省の通牒による施策について整理した。既往の研究では、学校身体検査規程中の視力について「国防能力と関連の深い視力」の「保全や発達を図った」と記述しているが、本調査が明らかにした国防能力と視力との関連する資料に基づく記述はみられない。通牒で指示があった道府県での具体化については、引き続き課題とすべきである。3、学校における近視対策の強化の施策は、偽性近視の早期発見と対策にあったが、「勤労動員ニ支障ヲ来サザルヤウ実施」することと指示があったように、視力対策強化の施策が貫徹し得ない状況のもと展開したことを資料で明らかにした。また、2と関連して、学校での具体化には学校医、教師、とりわけ養護訓導の役割が大きかったことから、特に養護訓導に関する資料の調査についても今後の課題とし調査の対象とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
寄生虫病予防対策の解明を昨年度実施する予定だったが、視力対策に関する資料が予想よりも早く収集できたため、視力対策に関する調査を先に進めた。資料調査は順調に進んでいる。収集した資料の一部は整理できているが、大半の資料が未整理の状態なので早急に整理する。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度予定していた寄生虫病予防対策の関連する資料について、本年度は重点的に調査する。特に、行政文書、衛生関係雑誌などの資料を中心に調査する。結核対策関連、近視対策関連の資料調査も併せて行う。現時点で、研究しがたい問題点は生じていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の内、図書費予算の消化が少額であったことが主たる理由である。。
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次年度使用額の使用計画 |
国会図書館、国立教育政策研究所教育図書館などへの調査のための国内旅費として使用する予定である。
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