研究課題
本研究は、小中一貫教育を通して児童生徒のキャリア・進路意識がどのように形成されるかを明らかにするとともに、発達特性および汎用的能力をふまえたキャリア教育プログラムの開発を目的とする。そのために、本年度は以下の2点から研究を進めた。(1)小中一貫教育における汎用的能力モデルおよびキャリア教育の分析9年間を見通した汎用的能力やキャリア教育について、国内外の事例を分析してその特徴を明らかにする。このうち汎用的能力については、PISA調査や国際成人力調査(PIAAC)、さらには21世紀スキルやヨーロッパITLR調査等におけるコンピテンシーモデルを比較検討した。また、国内におけるキャリア教育の内容を整理するとともに、外国についてはアメリカおよびカザフスタンにて現地調査を実施した。(2)小中一貫教育における実践事例の整理市民科(東京都品川区)やつくばスタイル科(茨城県つくば市)のように、総合学習の一部にキャリア教育を取り入れている事例を取り上げ、汎用的能力の育成および9年間の連続性という観点から授業分析を進めた。また、静岡市、千葉県我孫子市、茨城県土浦市・那珂市、長野県茅野市、大阪府高槻市、宮崎県美郷村等の自治体における指導助言者として関わりながら、小中一貫教育開始以来の取り組みに関する成果や変容を分析した。特に、小中一貫教育における地域および学校規模の問題として、同一自治体においても中心部と周辺部とでは、児童生徒の移動や交流および学校統廃合という点で状況が異なることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
国内については、教育委員会および各学校の全面的な協力の下、調査および資料収集において各地域および学校の実態を明らかにすることができた。海外の調査研究も実施できたが、継続性という点で課題が残された。
小中一貫教育を受けた小学校6年生および中学校3年生について、卒業後の進路動向を分析する。また、児童生徒がどのようなキャリア意識を形成しているかを把握するためのアンケートや、進路やキャリアに関する教員および児童生徒に対する聞き取り等の予備的調査を実施して実態を把握する。学校教育法改正に伴い、義務教育学校への移行がカリキュラム編成にどのように影響するかといった点も新たな課題である。
調査・分析用に購入予定の録音・録画機器およびパーソナルコンピュータについて、次年度購入することとなり、物品費が当初の予定より下回ったため。
物品購入および聞き取り・アンケート調査作成のための謝金に使用する。
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明治学院大学教職課程論叢『人間の発達と教育』
巻: 12 ページ: 75-93
近代建築
巻: 69 ページ: 52-61