本年度は、新自由主義に基づく国家理論の展開と内容の特徴についての研究を行い、新自由主義国家理論と呼ばれてきたものには、新自由主義国家理論と新自由主義立憲主義理論と呼ばれうる二つのものが存在しており、1930年代においてフライブルグ学派によって展開された新自由主義理論は、国家理論に該当し、戦後にシカゴ大学において展開されたそれは立憲主義議論に該当することを明らかにした。そのうえで、フリードマンとハイエクによって展開されてきた立憲主義理論を分析し、経済的自由至上主義的人権秩序を主張するものであるにもかかわらず、経済的自由の個人の尊厳からの基礎付けに失敗し、公序としての自由競争市場の有用性を道具主義的に主張することにその特徴があることを明らかにした。研究成果は論文として公表した。
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