研究課題/領域番号 |
15K04292
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
堀 薫夫 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60173613)
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研究分担者 |
久保田 治助 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40560719)
藤原 瑞穂 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (90269853)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学習履歴 / 70代学習者 / 高齢者学習 / 教育老年学 / 高齢者大学 / 継続性理論 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究は次の5つの柱から行った。1.全国のすぐれた高齢者教育の場を訪問してそこでの高齢者支援の実態に対して、その支援者と学習者双方へのインタビュー調査を実施した。具体的には、静岡市清水区清見潟市民塾、群馬県高崎市中央公民館終活講座、千葉県佐倉市中央公民館市民大学、埼玉県秩父市荒川公民館即興演劇講座および韓国ソウル市の高齢者教室である。これらに共通して重要と考えられるのが、団塊世代が70代に向かうことを見据えた新たなカリキュラムづくりである。 2.大都市型高齢者大学の事例として大阪府高齢者大学校を取り上げ、受講者900名に対する質問紙調査を実施し、70代以上の学習履歴の変化に注目した。その結果、60代から70代にかけて、学習テーマがより先鋭化することが示された。また地方都市高齢者大学の事例として、鹿児島市ねんりん大学を取り上げ、大阪府と同様の内容の質問紙調査を進めた。これは現在継続中である。 3.外国研究では、韓国ソウル市の高齢者大学での調査を進め、日本での同様の調査内容の質問紙を作成した。調査は現在継続中である。 4.これらの理論的背景となる教育老年学の文献を収集し、主にアメリカにおいて得られた知見を整理した。その結果、とくにロバート・アチュリーの継続性理論とマーチン・リンダウアーのオールドエイジ・スタイル論の深化の重要性が示唆された。以上の結果より現段階で指摘できるのは、高齢学習者は、70代以降により限定的に学習を行い、それが以前の人生の指向性の影響を受けるということである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大阪市・地方都市・外国における同様の内容の質問紙調査は現在進行中であり、当初の目標通りに進んでいる。大阪市および韓国での調査も順調に進んでいる。ただ鹿児島では追加調査をすること、(現段階で)韓国に限定した国際比較調査である点はやや規模縮小となったかもしれない。 文献研究では重要文献の渉猟が進んでおり、一定の仮説へのめどが立っている。インタビュー調査も当初の3分の2くらいの地域で行えており、とくに重要と思われた地域への訪問調査は終えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としてはまず韓国調査を終え、日本での高齢者調査結果との比較を行うこととなる。そのうえで、調査報告書の作成や学会発表、論文執筆などを行っていきたい。 日本の地方都市調査はまだ追加調査を夏に行い、大都市調査結果との比較を行っていく必要がある。また文献研究もさらに新しいものをそろえ、より現代の課題に対応できる枠組みを構築していきたい。インタビュー調査もあわせていくつか追加していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際比較調査を予定していたが、韓国のみの国際調査であって欧米には行けなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
欧米での追加調査もしくは韓国あるいは他の地域でのインテンシブな調査を計画している。また報告書の作成をも行う予定である。
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