社会の変動を背景に、今、保育者には一層高い資質・力量が求められている。他方、保育者の養成期、初任期、中堅期は成人形成期と重なり、アイデンティティ形成という発達上の課題に直面する時期でもある。本研究では、養成期から中堅期に至る12年間の長期縦断的混合研究により、保育者のアイデンティティの変化を捉え、自伝的記憶との関係を詳細に検討した。従来の研究に、こうした長期的調査を遂行したものはなく、本研究は初めて保育者のアイデンティティ形成過程の一端を実証的に示し、今後の保育者養成や支援を考える手掛かりを提供したと言える。
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