本研究は、市町村教育委員会が伝統文化の振興を通してまちづくり(地域再生)にどのように寄与しているか、その実態や課題を、事例研究や質問紙調査により明らかにした。 その結果、①教育委員会の伝統文化事業が自治体のまちづくりや子どもの郷土愛及び地域住民の連帯感の醸成に貢献していること、②約6割の市町村教育長は文化財の保護行政を行う上で、政治的中立性の確保が重要であると認識していること、そして③約8割の市町村教育長は自治体の文化行政の安定性・継続性の重要性を認めていること等が明らかにされた。今後の課題として、伝統文化を推進する人材の養成や文化予算の充実や教委と首長部局の連携強化の必要性等が指摘された。
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