研究課題/領域番号 |
15K04300
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉田 香奈 広島大学, 教養教育本部, 准教授 (30325203)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ / 州政府 / 学生経済支援 / 給付奨学金 / 授業料無償 / 宝くじ |
研究実績の概要 |
本研究は,アメリカ州政府による大学生に対する経済的支援の特質と課題を考察し,教育を受ける機会を保障する高等教育財政制度の在り方について検討を行うことを目的としている。経済的支援とは1)奨学金事業,2)公立大学の低授業料政策や公立・私立大学の授業料減免事業への助成,3)保護者向けの教育減税,を含む概念である。アメリカでは高等教育の責任は州が有しており,州政府は大学の設置認可や州交付金の予算編成・配分過程を通じて,また,奨学金事業や教育減税を通じて直接的・間接的に高等教育機会の均等化に取り組んでいる。本研究では,各州の政策をデータから比較分析するとともに特徴的な州を抽出し,ケーススタディを実施する。 平成27年度は,州政府の学生経済支援の先行研究のレビューおよび特色ある州の抽出を行い,テネシー州をケーススタディに取り上げることとした。テネシー州高等教育委員会,テネシー理事会,テネシー州私立大学協会,テネシー大学ノックスビル校などを訪問し,2003年に導入された州教育宝くじを財源とする給付奨学金制度,および近年開始されたコミュニティカレッジの授業料無償化制度についてインタビュー調査を行った。さらに,ワシントンD.C.では連邦教育省および高等教育関係諸団体を訪問し、連邦政府・州政府の学生経済支援の動向についてインタビュー調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,各州の学生経済支援をデータから比較分析するとともに特徴的な州のケーススタディを実施し,低所得学生の高等教育を受ける機会を保障する制度のあり方について検証を行うことを目的としている。 平成27年度は特徴的な制度を有する州としてテネシー州に注目し,教育宝くじを財源とする給付奨学金制度と授業料無償化について多くの関係者にインタビューを行うことができた。よって,当初の計画どおり研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、引き続きテネシー州の制度について分析を行うとともに,初年度に抽出した特色ある州の訪問調査を引き続き実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アメリカの訪問調査を3月に実施したため,予定していた英語テープ起こしの発注が年度内に間に合わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り越した助成金を用いて27年度に実施した英語テープ起こしの発注を行う予定である。
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