研究課題/領域番号 |
15K04306
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研究機関 | 開智国際大学 |
研究代表者 |
八尾坂 修 開智国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20157952)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アメリカ / 校長免許 / 校長養成 / オルタナティブ校長養成 |
研究実績の概要 |
2016年10月にマサチューセッツ州教育委員会、ハーバード大学教育大学院を訪問し、校長免許養成・制度の全州的な動向を踏まえつつも校長免許資格養成の3つのルートへの新たな終了基準を捉えることができた。また国内の関連学会に参加することによって研究課題に関わる情報も入手することが可能となった。最近の特徴として、以下の点をも明らかにできた。2015年から義務要件となったのがリーダー能力評価(Performance Assessment for Leaders:PAL)である。PALでは次の4つの課題に関する成果物が求められている。 課題1:生徒の学力向上のためのビジョンを通してのリーダーシップ-より効果的な学校における指導プログラム(カリキュラム、指導方法、評価)と学校文化の2つの視点に焦点をあて、ある学校の優先的領域のための学校ビジョンと改善計画を開発する。 課題2:専門学習文化のための指導的リーダーシップ-教師の知識やスキルを改善するため、構造化された学習活動を活用する少数グループの教師と関わることによる生徒の学習を改善するため専門学習文化を育てる。 課題3:個々の教師効果を観察し、評価し、支援することのリーダーシップ-教師の授業観察サイクルを記録し、教師の質についてフィードバックする。 課題4:家庭・コミュニティとの連携のためのリーダーシップ-生徒の学力あるいは生徒の健康、リクリエーション、学習に影響を与える社会的ニーズに関わりある1つの学校の優先領域において家庭・コミュニティとの連携を改善するための提案を開発し、実行する。 このような課題を遂行するにあたってはメンターとなる校長、教職員への協力役割期待が具体的に提示されており、校長志願者がPALをクリアできるような配慮が州教育委員会によってなされている。養成段階における校長評価制度の導入として捉えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカの校長免許と養成の関連、特に校長養成のオルタナティブルート(高等教育機関以外の代替ルート)がマサチューセッツ州やカリフォルニア州などで進展しており、教育委員会(学区)や専門職団体の役割も大きいという“新たな知見”を得ることができた。しかも必ずしも修士号取得を前提要件とせず、プロバイダーの多様化が特徴である。無論連携大学院(たとえばマサチューセッツ州ではボストン大学やマサチューセッツ州立大学)での追加履修により、修士号取得は可能であることも確かであることを知り得た。
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今後の研究の推進方策 |
1.マサチューセッツ州における校長免許資格における新たな校長養成要件(リーダー能力評価 Performance Assessment for Leaders:PAL)の具体的な要件についてマサチューセッツ州教育委員会からの聞き取りを行うとともに、2016年度において大学院生が要件を満たした提出物内容の分析を行う予定である。どのような学校課題解決例が見られるかわが国での校長の組織マネジメントに示唆をもたらすと考えられる。 2.校長養成ルートにおいて大学以外の初等中等学校長協会や学区教育委員会が行う新たなルートプログラムの実態について情報を入手するとともに、大学による養成との同質性・異質性を探る。また校長任用後の資質能力についてルート間に差異が見られるのかを探る。 3.校長免許資格要件と教育長免許資格要件との関連性を明らかにすることにより、教育長養成の独自の特徴を捉えてみる。わが国での教育長・校長資格のあり方への手がかりを得ることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
アメリカでの研究調査の費用を抑えることができたこと、また2017年度に購入した方が良いと考えられる外国文献図書があったことから、文献購入予算が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画を遂行する上での新たな文献入手と学会大会での発表参加への費用として使用する。
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