本研究では、後期中等教育における複線制の可能性についての調査・研究を通じて、日本における高校教育のあり方を検討することを目的とした。本研究のフィールドとしたカナダ・アルバータ州の事例からは、高校段階において具体的な職業に繋がる多様な進路選択のモデルを提示し、進路選択後も路線変更可能な、ゆるやかな複線制が実現されていることが明らかとなった。このことは生徒への聞き取り調査からも、高校在学段階で将来の路線変更を意図した進路設計を行っていることもわかった。こうした取り組みは、困難な課題を有する生徒が将来の自立の可能性を見出し、高校教育の意義を認識することで、中退問題の改善にも繋がることが示唆された。
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