研究課題/領域番号 |
15K04313
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
山本 眞一 桜美林大学, 心理・教育学系, 教授 (10220469)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大学経営人材 / SD(スタッフ・ディベロップメント) / 高等教育政策 / 事務職員 |
研究実績の概要 |
本研究は、諸環境の変化の中で高度化や合理化など厳しく対応が求められている大学経営に関し、これを担い支える人々(大学経営人材)の能力開発に着目し、現実志向および国際的視野からこれを実証的に研究することを目的としている。申請者は、これまでわが国における大学経営人材に関する研究をリードしてきたが、近年、ガバナンス改革が進み、研究の背景となる枠組みも大きく変化しつつある。すなわち、学長のリーダーシップの確立が求められる一方で、教育・研究に関する専門職としての教員も、教職協働の観点から、教授会という場とは異なる局面で大学経営への参画が必要となってきた。このため、変化する枠組みと、これまで蓄積してきた研究の成果と照合することによって、ガバナンス改革の時代にふさわしい大学経営人材のあり方およびその養成方策を明らかにするよう務めてきた。 すなわち、各種文献・資料の調査、研究会での意見交換、キーパーソンへのインタビュー等を通じて、より深い理解を得るようにつとめ、日本高等教育学会を始め高等教育に関する学会での発表、複数の大学におけるSD研修の講演、各種の論文および評論執筆などを重ねてきた。平成29年度には、前年度までに行ったこれらの作業を前提として、さらに研究を進めるとともに、広島大学で開催された高等教育ワークショップにも出席し、部会の司会および申請者自身の研究発表を行った。 今後は、この分野の高等教育研究の発展に貢献し、また現実の大学管理運営および経営の改善に資する提言を取りまとめることにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画に沿って、できる限り効率よく作業を進めてきたが、平成28年度に大学院部長という管理職を併任し、またこれに付加して、教育の場である大学院大学アドミニストレーション研究科の研究科長を兼ねることとなったので、管理業務のため多忙を極めるようになった。また、予定していた海外調査が期限内に実施困難となった。このため、所属大学を通じて、日本学術振興会に対し「補助事業期間延長承認申請書」を提出し、1年間の延長が承認されたところである。 平成29年度末にて管理職の任期が終了するので、今後はエフォート率を上げ、当初の計画に沿って、研究を完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1年間の延長が承認されたので、当初の計画の趣旨を生かしつつ、以下のような作業を実施し、研究の取りまとめを行いたい。 第一に、これまでに調査した結果にもとづき、大学経営人材の能力開発に係る最新かつ具体的なニーズの実態を分析し、論点を整理する。整理した論点に従い、事務職員のみならず、教員出身の大学経営人材や外部登用人材の能力を向上させるための各大学における諸方策についてさらに分析する。このため、大学経営に関して専門的知識を持つ者に対して、専門的見地から意見を聞き、論点を整理しかつ総合化する。また、日本高等教育学会、日本教育社会学会等の関係学会において、分析結果および仮説を積極的に発表し、その際に得た聴衆からの反応を参考に、研究の精度を高めるように努力する。 第二に、国際的な視座を明確に得るために、比較国際教育学会等の国際研究集会に出席し、大学の管理運営および経営を担う人材のあり方について、さらに深い理解を得る。 第三に、この時点までにとりまとめた研究成果が実践可能かどうかを検証するため、申請者の研究課題に即したシンポジウムを、大学(桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科)で開催する。シンポジウムには、研究者および大学経営の実務家を招き、意見交換を行うことにより、研究の質を高めて行きたい。 第四に、研究成果をとりまとめ、各方面にこれを発信することとし、これによって、ガバナンス改革が進むわが国の大学において、教職協働時代にふさわしい教員や外部人材そして事務職員の能力向上方策について、その知識の普及を図るとともに、大学の管理・運営・経営の改善とその人材養成のための教育プログラム開発・実践の助けとなることを目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、前年度に引き続き大学院部長という管理職を併任し、またこれに付加して、教育の場である大学院大学アドミニストレーション研究科の研究科長を兼ねることとなったので、管理業務のため多忙を極めるようになった。また、予定していた海外調査が期限内に実施困難となった。このため、研究計画の実施に遅れが生じ、予定していた支出が困難になったので、平成30年1月24日付けで日本学術振興会理事長あてに「科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長承認申請書を提出し、同年3月20日付けで承認を得た。 平成30年度においては、研究の総まとめとして、これまでの研究から得られた論点の整理、国際調査の実施、内外の研究者との意見・情報交換を積極的に行い、所期の目的を達するようにする。
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