本研究では、私的セクターを大規模に介在させた教育再生の成功要因を明らかにするとともに、理論的考察を行った。検証対象はイギリス・ロンドンのハックニー区の改革である。同改革では、区の自力再生が困難となった段階で中央政府が介入し、私的セクター(TLT)に教育業務すべてを強制移管した。TLTは顕著な改革成果を上げた後、教育を区に戻した。 本研究では、改革の経緯と背景を、国家介入を可能にした法整備に注目して明らかにしつつ、TLTのCEの協力を得てそれまで不明であった改革の実像を明らかにした。そして、この改革経緯を、平時の制度内での修復が不可能になった場合の有事の教育ガバナンス改革と把握した。
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