研究課題/領域番号 |
15K04324
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
矢野 真 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (00369472)
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研究分担者 |
田爪 宏二 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20310865)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 造形ワークショップ / コミュニケーション / 保育者養成 / 実践教材 / 木育 / 地域連携 |
研究実績の概要 |
本研究は,実際の保育者養成における「保育者の専門性」に必要となるコミュニケーション能力の育成について,保育者養成校と保育現場や地域,造形作家との連携による実践的な活動を中心に,コミュニケーション能力を育むための造形教材の開発を提案し,実践による教材集としてまとめることにより,保育者養成校の学生を対象とした講義や演習へのフィードバック,そして現職者の再教育(リカレント)など,教育・保育を中心に踏まえながら,広く社会還元していくことを目的とする。 今年度(研究3年目)は,木育のもつリラクゼーションの特性が保育者や子どものコミュニケーション・スキルの向上につながる可能性が示唆された調査結果を踏まえ,コミュニケーション能力の育成を目的とした造形教材について,木育を中心とした実践教材の提案を行いながら,造形ワークショップを中心とした活動をデータベース化した。また、1年目から行ってきた複数の幼稚園・保育園との連携と,地域との連携などを通じた,子どもや大人といった幅広い年齢層とのコミュニケーションをテーマとした造形教材についてのワークショップを企画・提案し,実践(計43回)を行った。その結果,保育者や子ども,大人とのコミュニケーション・スキルを向上させただけでなく,ワークショップを企画・準備した学生同士のコミュニケーション自体も促すこととなり,最終年度はこれまでの内容を冊子としてまとめるための期間と位置づけ,コミュニケーション能力を育成するための具体的な造形教材集作成のまとめ段階に入る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの3年間において,保育現場における造形教材の文献資料収集や,子どもたちに向けた造形ワークショップ,そして保育者への特徴ある造形教材についてのアンケート調査に関する的確な集計を行うことができた。加えて地域連携を中心に造形ワークショップの実践を行うことにより,幅広いコミュニケーション能力について検討することができた。また,幼稚園・保育園の子どもたちや保育者を対象とした造形ワークショップによる具体的な実践教材について,「木育」を中心とした教材研究を取り上げることにより,地域との連携においても同様の結果を得ることができた。しかし,今年度は造形ワークショップの教材集を冊子として印刷するまでに至らなかった。そのため,コミュニケーション能力の育成を抽出し体験させたことを具体的な教材集として作成するために,造形教材の実践および資料についても収集したものをもとに,これらをまとめる段階に入る。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(研究4年目)は,これまで行ってきた3年間の造形ワークショップの実践について,コミュニケーション能力を育成するための具体的な造形教材集として作成することにより、最終の報告とまとめを行う。それらを通して造形教材を通した「保育者の専門性」についての可能性を示しながら,保育者養成校の学生を対象とした講義や演習へのフィードバック,さらには現職者の再教育(リカレント)などの社会還元を行い,コミュニケーション能力を育成するための造形教材に関する具体的な内容検討と活動報告のまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究としては予定通りの成果である。しかし,3年間の過程における造形ワークショップの実践について,保育者を目指す学生の報告文を冊子としてまとめることにより,コミュニケーション能力と造形教材について,相互の共通理解による造形教材のあり方を示すことが可能となり,今後の教材開発と試行および学生を対象とした講義や演習へのフィードバック,現職者の再教育への道筋をつけるといった具体的な達成目標につながるため,次年度の使用を計画している。
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