研究課題
2018年度は4年間にわたる調査研究の結果をまとめた研究成果報告書を作成した。その上で、豊中国際交流協会の協力を得て当該会場にて研究者、外国籍教員当事者、その他関係者等に参加いただく公開シンポジウムを12月2日に開き、広く成果の社会還元にも努めた。上記の研究成果報告書は、総頁数351頁で3部構成の内容となっている。序論で、グローバル化時代における外国籍教員の任用・雇用の実態解明を行う共同研究の目的や意義、先行研究の状況と課題などを整理した。そして、第1部では、1991年文部省通知に至る官民の動きを多様なアクターに関する資料から跡付け、その複雑な来歴と経緯を明らかにしている。次に第2部では、1970年代初頭からの日本各地での外国籍教員の任用をめぐる動きを詳細に叙述した。特に任用実績の多い大阪を中心とした近畿圏にとどまらず東京、神奈川の関東圏と、外国籍教員の任用に関連した裁判のあった愛知および福岡を取り上げた点は歴史研究としても新たな広がりを示した。続く第3部では、海外に目を向け、諸外国における公立学校の外国籍教員の任用・雇用の状況を調査した結果を整理して叙述するとともに、試論的にその任用・雇用パターンの類型化を行うことで、日本における外国籍教員の任用類型を国際的な文脈の中で位置づけた。最後の総括的考察では、国内外の外国籍教員の任用・雇用の制度・状況をふまえた上で、公教育のガバナンスにかかわり今後選択可能な政策・制度シナリオを5つ提示した。この将来シナリオについてはいずれも不確定要素が多く実現に困難を伴うことは十分ありうるが、公開シンポジウム後にも法曹界・弁護士から注目される旨の反応が届くなど、今後議論を深めていく契機となるものと考える。以上、諸外国の現地調査は当初計画の一部が実施できなかった点など課題を残した面もあるが、概ね研究計画に従った成果を上げることができた。
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エトランデュテ
巻: 2号 ページ: 233,265
ISBN978-4-88591-329-3