研究課題/領域番号 |
15K04327
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
安東 由則 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (10241217)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 女子大学 / 国際比較 / サバイバル / アメリカの女子大学 / カソリック系大学 |
研究実績の概要 |
初年度となる平成27年度には、1)アメリカの女子大学に関する文献およびデータの収集・整理とともに、2)ワシントンD.C.にあるTrinity Washington Universityの資料室を訪問し、当該女子大学の資料を検索・入手し、 Archivistで名誉教授のMary Hayes氏へのインタビューを行った。 1)1960年代以降の女子大学の急減に関して、カソリック系女子大学の動向が大きな鍵を握ることから、カソリック系大学に関する洋文献を収集した。さらに、1960~70年代における女子大学の動向を探るため、国立国会図書館、神奈川県立図書館、及び米国議会図書館にて“The College Blue Book”のデータ収集と入力、さらに米国議会図書館では“American Universities and Colleges”、“Barron's Profiles of American Colleges”(いずれも1960年代)より、アメリカの女子大学関連データを収集し、整理・入力を始めた。 2)Trinity Washington Universityは、カソリック系女子大学がサバイバルに成功した事例とである。1960年代以降における大学のサバイバル戦略と大学の変容を示す資料を探った。当初、McGuire学長へのインタビューを計画していたが、実行できなかったことは残念であった。学長より、インタビューは時間的に難しいので、質問票を送付するようにとの連絡があり、作成して送付したものの、結局返答が得られなかった。一方、資料収集に訪れた同大学史料室責任者で、名誉教授でもあるシスターMary Hayes氏へのインタビューを行い、貴重な情報を得た。さらに、同大学が1960~70年代に第三者機関に提出した自己報告書及び同窓会雑誌の閲覧が許可され、必要箇所の複写を行った。 当年度の成果は、本研究の基礎作業として、アメリカにおける19世紀前半の女子大学の誕生から1970年代の急激な減少までの動向をまとめ、学内の研究紀要に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次の三点において、当初の目的が達成できなかった。 当初、二度の渡米調査を計画していたが、最初に訪問を予定していたTrinity Washington UniversityのMcGuire学長との訪問交渉において、なかなか返事がなかったことから日程調整に手間取り、勤務校での授業や業務の調整が難しくなった。そのため、年度末の3月にワシントンDCのTrinity Washington Universityと米国議会図書館を訪問するだけとなり、Smith Collegeへの訪問調査は実行できなかった。 次に、米国議会図書館にて文献の複写・撮影を行う予定であったが、所蔵カタログに掲載されている文献であっても、「所定の棚にない」との理由で閲覧できなかったものがいくつもあり、文献の入手ができない結果となった。 最後に、韓国の女子大学に関する情報を得るべく、専門知識を有する研究者へのインタビューを予定していたが、アクシデントもあって日程の調整が難航し、実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究と並行して、当年度(平成27)より、3ヵ年計画の学内共同研究が始まり、筆者が研究代表となっているため、本研究との時間配分調整が難しくなっている。できるだけ早期に訪問予定大学及びインタビュー対象者との日程調整を行い、学内業務との調整を図って、本研究がスムーズに進行できるようにする。 当年度(平成27)の成果と反省点を踏まえて予定を調整し、今後の研究を推し進めていく。まず、当年度に実施できなかったSmith Collegeへの訪問調査を、次年度(平成28)に組み入れ、当初から予定していたジョージア州の2女子大学への訪問調査と合わせて、二度の渡米調査を実行する。さらに、平成29年度に予定している韓国の女子大学への訪問調査に向けて、専門家から情報提供を受ける他、関連文献を収集・分析するなどして、その準備を整えていく。同時に、これまで収集したアメリカの女子大学に関する文献を整理して論文にまとめるとともに、量的データを入力してデータベースの作成を進める。最終的には日本の女子大学研究の成果を加えて、女子大学研究の理論枠組みの構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
59万円の未使用が生じている。その主な理由は、当年度に予定していた二度の渡米調査が、ワシントンDCへの一度のみとなり、マサチューセッツ州Smith Collegeへ訪問調査ができなかったことによる(約50万円)。これは、最初に訪問を計画したTrinity Washington Universityへの訪問交渉において、相手からの返事がなかなか届かず、日程調整にかなりの時間を要したためである。 この他、韓国の大学に関する研究者と留学生からの情報提供についても日程調整が不調に終わり、人件費の使用がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
当年度(平成27年)に使用できなかったSmith College(不可能な場合はMount Holyoke College)への訪問調査(約50万円)と、韓国研究者や韓国人留学生への聞き取り調査(約5万円)については、次年度(平成28年)に実施したい。また、当年度(平成27)の渡米調査が年度末の3月実施となり、インタビューの書き起こし作業や資料整理などの人件費(約4万円)を執行できなかったため、これも次年度(平成28)に持ち越すこととした。 ジョージア州での2女子大学及びWomen’s College Coalitionへの訪問調査(約45万)、および国内での資料調査(10万)の他、書き起こしやデータ入力の人件費などについては、当年度提出した予算計画通りに執行する予定である。
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