研究課題/領域番号 |
15K04327
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
安東 由則 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (10241217)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 女子大学 / Smith College / 国際比較 / サバイバル |
研究実績の概要 |
平成29年度における実績としては、主として次の二つに集約できる。 1)一つは前年度3月に訪問したアメリカ合衆国・マサチューセッツ州にあるスミスカレッジ(Smith College)で実施した二名へのインタビューを報告としてまとめたことである。女子大学の意義やセールスポイント、学生のリクルート方法をAudrey Smith氏(Vice President for Enrollment)に、アメリカと日本の女子大の違いやスミスカレッジのよさを日本人教員である高橋温子上級講師へのインタビュー調査を、日本語に訳出してまとめるとともに、それに解説や注釈を施して仕上げ、学内の学術雑誌に発表した。 2)二つ目は再度のスミスカレッジの訪問である。上記のスミスカレッジへの訪問時には、季節外れの猛吹雪により、予定を大幅に縮小せざるを得ず、先述の二名のみのインタビューにとどまった。スミスカレッジは全米でも威信が高く、女子大学として初めて工学プログラムを立ち上げる、金融教育(Financial Education)を実施する、トランスジェンダー(Transgender)学生への入学を検討するなど、積極的な大学運営を行い、喫緊の課題に果敢に取り組む女子大学であるため、もう一度訪問することとした。調整を行った結果、11月に再度訪問することができ、今回は、トランスジェンダーの学生の受け入れの経緯や、そうした学生に対する学生生活支援の在り方、金融教育プログラム(Financial Education Program)の内容や実施方法などを担当職員にインタビューを行うとともに、授業見学と学生との話し合いも実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アメリカでのインタビュー調査結果を文章化して報告書にまとめるという当初の目的は、平成28年度末に訪問したスミスカレッジ(Smith College)分のみであるが、実施することができた。平成27年度に訪問したトリニティ・ワシントン大学(Trinity Washington University)についての論文作成に取り組んでおり、平成29年度における二回目のスミスカレッジ(Smith College)でのインタビューについては、音声を原稿に起こす作業を終えたところである。これらについては予定通り進んでいる。 遅れている点としては、前年度の予定として、スミスカレッジのみならず、ジョージア州アトランタにあるアグネススコットカレッジ(Agnes Scott College)とスペルマンカレッジ(Spelman College)を訪問することにしていたが、経費と日程調整の関係で、実施することができなかったため、スミスを二度訪問することを優先した。 また、研究開始段階の計画では、平成29年度に韓国の女子大学への訪問調査を終える予定になっていたが、学内の職務の増加や学内の共同研究の責任者になるなど多忙化したことにより当該年度には実施できず、これまでの遅れを取り戻せるだけの時間を確保できない現状である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度が本研究の最終年度となるが、本研究代表者を実施責任者として本学で全国学会を開催することにもなっているため、この準備にかなりの時間が取られることは避けられない。よって、残された韓国の2女子大学校(梨花女子と淑明女子)への訪問を最優先に考え、学内の諸職務とも調整をしながら、できるだけ早く訪問対象校との交渉をはじめ、日程およびインタビュー対象者の決定を行うこととする。 また、平成29年度に実施したスミスカレッジ(Smith College)におけるインタビューは4件に及び、その訳出には少なからぬ時間が必要だと予測される。さらに今年度実施予定の韓国でのインタビュー調査とそのまとめもあるので、スミスカレッジ調査の翻訳に可能な限り早期く取り掛かる予定である。印刷予定の研究報告書には、韓国の調査結果も掲載できるよう鋭意努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に、その前年(平成28年度)から791,741円の繰越金が生じた。平成30年度への繰越金は618,146円と17万程度少なくなったものの、まだ少なからぬ額の残額が生じている。これは、平成28年度にアメリカの女子大学を二度に分けて訪問する予定になっていたものが、一度しか実施できなかったためである。平成29年度においても、28年度に訪問できなかったアメリカの女子大学と、従来からの予定通り韓国の女子大を訪問する予定にしていたが、韓国訪問は実施することができなかった。年に二度の外国訪問は、学内の授業やその他の業務による過密化・多忙化が進み、困難となっている。
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