研究実績の概要 |
本研究の目的は、開かれた大学づくりの在り方を考えるために、アメリカにおける大学開放運動の歴史像を明らかにするとともに、近年の成人教育・継続教育の動向を調査することにある。2018年度の成果は以下の3点である。 第一に、第一次大戦後における国際競争下の日米科学交流を契機として、大学と地域の互恵的関係が生み出されたことを明らかにした。技術移転による研究成果の活用が地域の人々の健康を守るとともに、研究成果を商業化して利益を生むことで優秀な若年研究者の研究環境を整備できたことを指摘した。この成果は、国際学会(History of Education Society, Albuquerque, Nov,1)で発表した。 第二に、戦間期に新しい専門職教育が要請され、大学拡張部を通じて拡大していく過程を、現職教員に注目して分析した。大学拡張部は、現職教員が働きながら学位や資格を取得できる課程を提供するとともに,教員過剰による質的低下の危惧に対して,行政や外部の組織団体と協働して教員の質的向上に貢献したことを明らかにした。この成果をまとめて論文を執筆した(南山大学教職センター紀要)、 第三に、2017年度米国留学時の調査にもとづいて、ウィスコンシン大学における大学拡張システムの再編動向を第11回大学開放研究会で報告したほか、大学史研究会定例会でアメリカ高等教育の研究動向をまとめて報告した。なお、これらの成果は、東京大学大学院で私学研修員として実施した講演でも報告した。
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