研究課題/領域番号 |
15K04339
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
高橋 均 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30561980)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 家族の教育戦略 |
研究実績の概要 |
本研究は、子どもの居住空間の変容に着目し、その変容の意味について社会学的に考察することを試みるものである。近年、住まいに子ども部屋を設けない、あるいは住まいの各部屋に仕切りを設けない間取り(以下、「開かれた住まい」)が、住まいの建築計画=言説空間において主流となってきている。本研究の目的は、「開かれた住まい」を、どのような社会経済的地位にある保護者が選好するのか、どのような子育て・教育意識を持った保護者が選好するのか、つまり、保護者による「開かれた住まい」選好の規定要因について明らかにすることにある。本年度は、北海道の都市部および農村・漁村地域を中心とする非都市部在住で、現在、中学校(第2学年)に子どもを通わせている保護者を対象に質問紙調査を実施し、約1000のサンプルを回収した。これまで3年間に渡り収集されたデータ(サンプル数約3500)について目下分析中であるが、①調査回答者が父親よりも母親である場合、②子どもが自ら進んで勉強している場合、③平日の親子接触時間が長い場合、④保護者が子どもに本・新聞を読むように勧めている場合、⑤保護者が理想とする親子関係が受容型(子どもの気持ちに寄り添う・子どもの言い分を丁寧に聴く)である場合、「⑥世帯年収が高い場合(500万円以上)、⑦親が希望する子どもの獲得学歴が大卒以上である場合、⑧保護者が子どもの勉強をみてあげている場合、⑨子どもが学校の勉強が得意である場合、⑩母親の就業形態が専業主婦である場合に、「開かれた住まい」が選ばれる傾向にあることが示唆された。また、多変量解析の結果から、世帯年収・保護者学歴・保護者職業・子どもへの勉強の関与の有無などが、「開かれた住まい」選好に有意な正の影響を及ぼしていることが明らかとなったが、さらに精緻な分析が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に基づき、各年度ごとに1回、質問紙調査を実施することができた。質問紙調査によって得られたデータの分析から、住まいにおける空間編成の在り方(共有スペースが設置され、間仕切りが少ない「開かれた住まい」であるか/個室を中心とした「閉じられた住まい」であるか)と、家庭における保護者と子どもとの教育的関わりとの間には一定の関連性があることが、新たな知見として示された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を通じ、住まいの教育的編成を、家族の教育戦略の一端として位置づけることについて、一定の妥当性が確認されたと考える。これまで、本研究に関連する成果について学会発表ならびに研究論文での公表を行ってきているが、今後、本研究の最終的な成果については、研究論文により公表を行う予定である。今後の研究の推進方策として、本研究において残された二つの課題(課題の第一は、質問紙調査における調査項目について改善の余地があるという点である。実際に保護者が居住空間を、「教育空間」として、つまり、教育のためにそれを利用するという意図あるいは「居住空間の教育化」への志向性を持っているのかを明らかにすることができていない。第二の課題は、本研究では、量的データの収集に重点を移行したため、質的データの収集ができてないという点である)をふまえつつ、質的レベルにおいて、実際に保護者と子どもが居住空間において、教育的なかかわりをどのように展開しているのか、とくに開かれた居住空間における保護者と子どもの間の相互作用にどのような特徴がみられるのかについて、参与観察や映像データの収集を行い、より実証的なデータの蓄積と分析に引き続き取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では質問紙調査を実施したが、調査票の回収に時間を要したため、収集されたデータの分析が当初の計画よりもやや遅れている。これに伴い、研究成果報告書を作成する時期も当初の計画よりも遅れることが見込まれるため、補助事業期間を延長した。なお、延長にあたり、経費は、研究成果報告書ならびに学会投稿論文執筆にかかる図書・文献資料等の購入、国立国会図書館における資料収集にかかる旅費に充てる予定である。
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