1990年代以降、住まいの建築計画をめぐる言説空間において居住空間に仕切りを設けない「開かれた住まい」を称揚する言説が支配的となり、「開かれた住まい」は言説レベルから物質レベルへと転換し、実際に新たな商品価値を伴った居住空間として市場に流通している。本研究では保護者による「開かれた住まい」選好の規定要因について検討した。量的データの分析から、「開かれた住まい」は、子どもの勉学や学校知の獲得に配慮し、子どもが高い学歴を獲得することを望み、日頃子どもとのコミュニケーションをとる時間が比較的長く、受容型の親子関係を理想とし、経済的にも比較的富裕な保護者によって選好される傾向にあることを明らかにした。
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