研究課題/領域番号 |
15K04341
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
白幡 真紀 東北大学, 教育学研究科(研究院), 研究員 (70746552)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 職業教育・訓練 / キャリア教育 / 職業関連学習 / スキル / イギリス連立政権 / イギリス労働党政権 / 見習い教育訓練 |
研究実績の概要 |
本年度は主にイギリスにおける学習とスキルに関する公共政策の展開に関する文献収集と予備的調査を中心として研究を進めた。 第一に、前連立政権下における重要な政策文書について分析を行った。教育省が発行した2010年教育白書、職業教育・訓練に関する『ウルフ報告書』、『「ウルフ報告書」への政府答申』などを始め、ビジネス革新スキル省の各政府文書・報告書、教育水準局(Ofsted)の報告書等について検討を行った。第二に、先行研究の文献収集と、特に若年層を中心とした労働市場の傾向について統計情報の収集を行った。 これらの文献やデータの検討から、次のような知見を得た。前保守党・自由民主党政権下では、「大きな社会(Big Society)」の号令の下、自助と共助の原則に則って財政運営をより厳しくし、労働党政権で肥大化した行政祖域と公共サービスの整理統合が進められた。たとえば、厳しい財政削減の様相は新しいキャリア・サービス(National Careers Service)の運営にみることができるが、質を落とすことがないよう、民間のノウハウを大いに活用している。また、学校におけるキャリア・ガイダンスにおいても外部との連携が義務化されたが、各学校の取り組みにおいてはなるべく無料のリソースを利用するなど、コストのかからない方法で行うことが推奨されている。こうした様相が、どのような実施課題を生じさせているか、また、広範に公的資金を投入したネットワークの整備が、学校の職業的学習などにおいてどのように活用されているかについて、引き続き検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、妊娠・出産のため、3か月の産後・育児休暇を取得し、予定していた訪英調査が未実施に終わってしまった。また、学会や研究会への参加も見送らざるを得なかった。しかし、文献調査に関しては順調に進んでおり、28年度からはより詳細な調査を実施する予定である。学会等へも参加予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、政権再編後のスキルと学習に関する政策動向について、政策文書の分析を行ってきたが、実地調査等は行っていない。こうした枠組みがどのように機能しているのか、検討する必要がある。また、2011年教育法の実施とその後の法的指導要件の改訂により、カリキュラムにおける職業関連学習の提供の義務がなくなった。こうした大きな転換を受け、どのような影響が出ているのか。この動向について調査を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は妊娠・出産のため、3か月の産休・育休を取得しており、予定していた学会への参加と訪英調査が未実施に終わった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、前年度に予定していた訪英調査を行い、また学会・研究会等にも参加する予定である。
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