研究課題/領域番号 |
15K04347
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
王 杰 (王傑) 東京大学, 大学総合教育研究センター, 特別研究員 (80432037)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中国 / 日本語教育 / 日本語学習者 / 進路希望 / 留学志向 / 留学生供給源 / 日本留学 |
研究実績の概要 |
マクロな視点では、改革開放後の中国の海外留学政策の変化や今世紀に入ってからの中国人海外留学の新動向を把握し、日本高等教育学会第18回大会で研究発表をおこなった。主な知見は以下の通りである。ここ10数年間の中国人の海外留学の急増は史上未曽有といってもよい。公費留学生がわずかしか増加せず、9割以上が私費留学生である。経済の急成長を伴った家庭収入の急増は根底にあるが、先進諸国の人材獲得競争もそれに拍車をかける。量の変化のみならず、高校生留学、つまり海外留学者の低年齢化が現に進行している。留学先について、従来の「先進国一辺倒」から100以上の国へと分布するようになったものの、英語圏への留学は相変わらず主流である。2010年以降はアメリカへの過度の集中が目立つ。ここ数年間の中国人留学生受け入れの停滞は日本のみならず、オーストラリア、韓国などの国も同じ傾向にある。 ミクロな視点では、在日中国人留学生や研究者を対象に、日本留学の目的、期待、来日する前の日本語の習得状況、留学斡旋業者の仲介状況、来日後の留学生活についてインタビュー調査を実施した。また、北京市と山東省にある数大学の日本語科の責任者を対象に、日本語教育と日本語専攻生の卒業後の進路について聞き取りをおこない、質問紙調査の実施時期などについて打ち合わせをした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここ10数年間の中国の日本語学習者の量的変化を詳しく分析する必要があるが、日本語教育の責任者聞き取り調査から、中国の大学の日本語学習者(専攻・非専攻)の量的変化と卒業後の進路の状況について、国内では統計データが存在せず、日本国際交流基金の海外日本語教育機関定期調査のデータを利用して把握するしかないことがわかった。2015年に同調査が行われたため、データ入手次第、2009年、2012年のデータと合わせて分析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在は質問紙調査の調査票の設計に力を入れると同時に、中国国内の研究協力者を通して、各対象校の調査実施時期を再確認している。5月下旬から6月上旬にかけて、日本語教育の現場で質問紙調査を実施する予定である。データベースが7月初旬までに納品された場合、9月17-18日、名古屋大学で開催される日本教育社会学会第68回大会で分析結果の一部を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
円安の進行により、次年度の本調査を実施する予算が不足となる可能性があるため、本年度の日本語教育責任者聞き取り調査の予定を2回から1回に変更した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予算の使途は質問紙調査の実施を最優先する。予算に余裕が出た場合、聞き取り調査を追加する。
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