研究課題/領域番号 |
15K04348
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉谷 武志 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (60182747)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教師教育 / 異文化間教育 / EU / 欧州審議会 / NPO / 多様性 / 移民 |
研究実績の概要 |
本研究の課題とする教員の異文化間研修、訓練について、研究対象である欧州審議会(Council of Europe)の教員研修プログラムについての資料の収集、研究者との交流により情報収集を行い、次年度以降の研究を進めるために基礎的な資料の整備を行った。この国際機関は近年の移民問題が深刻化するヨーロッパにおいて、異文化間教育に基づく教員研修、養成分野の理論的、実践的研究を長年にわたりリードしてきており、本研究の主たる研究対象となっている組織であり、今後の研究推進のための基本的な資料を収集することが出来た。 またマイノリティへの偏見、差別の軽減を目指して教員への異文化間教育研修、人権教育研修、ホロコースト教育研修を行っている国際NGOアンネ・フランク・ハウス(財団、Anne Frank House)を訪問し、アンネ・フランクの日記や資料、アンネ・フランク巡回展などに関連して行われている教員研修に関する情報を収集、具体的な研修の実施状況とその課題についての聞き取り(メールによる情報交換を含む)を行った。 その他に、国内のEU、欧州審議会関係の資料を収集、保存している大学や関係機関の図書館、資料センターを訪問し関連する資料の収集整理を行った。 さらに、現在までの研究に関する知見をギリシアで行われた国際学会(国際異文化間教育学会、International Association of Intercultural Education)の年次大会において研究発表を行い(2015年7月1日)、関連分野の研究者との研究交流を行うとともに、今後の研究に対してネットワークづくりを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した初年度の課題である、基本的な資料の収集、欧州審議会及びアンネ・フランクハウスをはじめとするEU地域における本研究課題の現状、その課題を把握するとともに資料の収集を行うことが出来た点、学会発表を行ったことでこの分野での研究者との知己を得ることが出来、研究交流の範囲をさらに広げることが出来たこと、収集資料の整理を進められていることが挙げられる。 以上、初年度に目標とした点についてほぼ達成できたことにより、上記のような評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究計画にそって研究が順調に進んでいるので、2年度目の研究も当初の予定通り推進していくことにしている。 具体的には、海外では引き続き欧州審議会の教員プログラム(Pestalozzi Programme)の責任者J. Huber氏やこの分野の関係研究者との研究交流を進めていく、またオランダのアンネ・フランクハウスの教員研修、関連組織のベルリン、オーストリアにおける異文化間教育、人権教育の推進状況と教員の研修、訓練についての訪問調査を行う。 国内では、関連書籍の収集、EU資料センターを持つ大学図書館を中心に資料収集、整理を引き続き行う。 また、初年度に収集した資料や情報を整理し、国内(異文化間教育学会、日本比較教育学会)、国外(国際異文化間教育学会)の大会において教員の異文化間教育に関連する理論の分析、実地調査による知見の整理などを元に研究発表を行う予定である。 なお、2016年度前期において所属大学において、研究専念期間の取得が認められたので、この機会を利用して現地に滞在する機会を持ち、調査研究の成果を上げる所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施者である本人が所属する研究機関において、次年度(2016年度)の前期に、学内処置として6ヶ月の「研究専念期間」が得られた。この研究専念期間において、EU地域における教員の異文化間教育研修の実際を視察するための調査(出張)費用に充てるために、研究経費の一部を繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度の春学期、研究専念期間に研究対象であるアンネ・フランクハウス(アムステルダム、オランダ)に滞在し、当該国際NGOの教員研修に関しての情報収集、研修見学、研究交流を行うとともに、欧州審議会(ストラスブール、フランス)、ドイツ、オーストリア、フランスの関連施設、研究者を訪問する予定である。 この渡航及び滞在費用の一部に充当し、使用する。
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