学術的な意義は、オーストラリアのナショナルカリキュラムにおける市民性教育が多様性を基礎にしているという特徴を明らかにしたことである。社会の文化的・言語的・宗教的多様性や多様なアイデンティティの存在が前提となっており、その多様性を基礎とした社会に参加する市民の育成、すなわち、グローバル・多文化市民(グローバル・マルチカルチュラルシティズンシップ)の育成が目指されていることが特徴的である。こうしたグローバル・多文化市民の育成のための教育は、グローバル化時代の今後の日本の市民性教育のあり方を検討する上で、極めて参考になるものである。
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