本研究は、日仏の首都圏における戦前から1970年代初頭までの国立大学拡張過程に着目し、歴史的に構造化された持続発展過程の観点から、政策形成、社会経済的背景、学問的文化変容を比較することを目的とした。P.ブルデューとF.K.リンガーの文化的再生産に関する歴史社会学の方法論を検討し、パリ大学と東京大学を起点に、国際的な社会変化に対応し、社会養成に応える計画化を図り、新たな人材養成を企てた新大学の先導的役割を分析した。「学問中心地」の比較の視点から、国家主導の計画思想の下で拡大発展したパリ地域圏の大学と、東京で湯島・神田・本郷から郊外へと移転を企てた官立大学のアカデミック・ドリフトの特徴を分析した。
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