| 研究課題/領域番号 |
15K04361
|
|---|
| 研究機関 | 鳥取大学 |
|---|
研究代表者 |
柿内 真紀 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (70324994)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
| キーワード | EU / 早期離学 / 中等教育 / 比較教育 / ヨーロッパ |
|---|
| 研究実績の概要 |
ＥＵ（欧州連合）の新経済成長戦略である「欧州2020」の５つのヘッドライン指標に教育分野の「（中等教育）早期離学者比率の引き下げ」が含まれていることへの注目が本研究のスタート地点である。本年度は，昨年度からの継続課題でもある，欧州委員会による早期離学に関する報告書(2014年)で提示された早期離学の３要因（「個人，家族，社会経済的状況，移民もしくはマイノリティの背景，ジェンダー」「教育制度（留年制度，社会経済的分離，早期のトラッキングなど）」「労働市場」）をさらに検討するにあたって，最新のモニタリング報告書等を用いて，2004年以降のＥＵ新規加盟国に注目して基本的なデータを比較考察し，社会経済的背景等を加味しながら，特色の析出を試みた。この成果については論文投稿等を準備中である。また，この成果からイギリス，フランス以外に比較対象とする第３国を選定予定である。また，フランスについては，早期離学に関するフランスからの研究者による複数の来日セミナー等への参加において，学校での進路指導とともに，どのような背景の生徒がどのような進路を選択し（選択させられ），離学も含めたその後のルートを選びとっているのかについて，最新の研究調査動向および先行研究を得ることができた。この成果を次年度につなげていく予定である。以上から，上記にイギリスを含めて，早期離学の背景とともに，再び教育や訓練に戻るルートをいかに構築しているのか（できるのか）を描き出すことが次年度以降の課題となった。
上記の研究実施においては，連携研究者との研究打ち合わせ，関連する先行研究や資料等の文献収集・考察・検討を並行しておこなっている。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度から継続して取り組んできた，ＥＵのモニタリング報告書等による早期離学に関する背景分析についてさらに進めることができた。これにより，本研究の調査対象とする第３国の選定が進んだ。また本年度は，特にフランスについて研究者の来日セミナー等に複数回参加できたことにより，中等教育および早期離学に関する教育・社会問題等の最新研究の把握ができた。一方で，イギリスについては，早期離学に関する現地でのレビューや調査等の設定にはやや遅れが生じているが，この点は次年度において補いたい。
|
| 今後の研究の推進方策 |
先行研究および関連資料の収集・考察，モニタリング報告書等のデータ分析の継続とともに，現地でのレビューや調査等を実施し，それらをもとに，早期離学の背景および，再び教育や訓練に戻るルートをいかに構築しているのか（できるのか）を描き出すことに重点をおきながら進め，早期離学に係わる制度設計，政策方針の全体像の把握を中心に進めていく。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査等の設定が調整中のため，次年度へと計画変更したことにより旅費の使用が少なかった点が主な理由である。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
次年度に移行させた海外現地調査等の実施，また，学会への参加，連携研究者との研究打ち合わせ等も継続して実施予定である。加えて，先行研究および関連資料の継続収集費，資料整理費，必要となる消耗品費，2016年からの所属機関の電子ジャーナル購読中止によって当初の予想外に発生すると思われる外国雑誌の収集費等にも充てる予定である。
|
