研究課題/領域番号 |
15K04365
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
芝山 明義 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10243742)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人権教育 / 教育コミュニティ |
研究実績の概要 |
平成28年度には平成27年度の研究結果等をふまえて、それらの課題がとくに顕著であるとみなされる市町に関して、教育関係者からの聞き取りを深化することとした。そこで、人権教育に係る学校と家庭・地域の連携の現状に関する動向把握のための学校調査(第一次調査)に係る方法と内容を当初予定から変更し、学校調査(第二次調査)の対象地域の選定手続等も継続して実施した。 平成28年度における人権問題・人権教育に関する啓発集会等も参照しながら、関係する教育関係者からの聞き取りあるいは研究者からの情報収集により、徳島県では一つの代表的な事例として、県央部にあるI中学校区において人権教育の特色ある取り組みが実践され、1990年代の約10年間にわたって展開・継続されたが、その後の実践を担った教職員の異動や世代交代、またその実践の中心的な人権問題としての「同和問題」の社会的・歴史的変遷によって、この実践は個別教員の取組として拡散したり学校や地域社会の状況の変化により中絶したりしていったことが確認できた。一方、2010年代に入り、当時の生徒や教員がその成果や課題を現在から振り返って確認・検討する意義が改めて認識され、課題も含めてその検証の必要性も顕在化してきた。折しも、「部落差別の解消の推進に関する法律」(平成28年法律第 109号)が平成28年12月9日に成立し、同月16日に施行されたことにより、新法の下での新たな課題と展望として、地方自治体としての教育行政施策や学校教育等における取組の再構想が必要とされていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度に実施を計画していた学校調査(第二次調査)の対象地域の選定について、平成27年度における県下の教育関係者からの聞き取りで確認された課題の検討から、それらの課題がとくに顕著であるとみなされる地域に関して、教育関係者からの聞き取りを深化することとしたことにより、学校調査(第二次調査)の本格的な実施時期を遅らせることとした。また、「部落差別の解消の推進に関する法律」(平成28年法律第 109号)の平成28年12月9日成立、同月16日の施行により、新法への対応が新たな課題として浮上してきたことをふまえ、研究課題に関わる調査資料の収集・分析やその内容等を再設定していく必要が生じたため、学校調査(第二次調査)についても平成29年度に重点的に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究実施計画より学校調査(第一次調査)の実施手続等を変更し、平成28年度からの学校調査(第二次調査)に関しても当初に計画していた対象地域の選定とその事態把握の手続等を変更したことにより、平成28年度の学校調査(第二次調査)の追加・補足調査を予定していた平成29年度には、再構成した学校調査(第二次調査)を重点的かつ可及的速やかに実施するものとし、その全体としての整理・分析をおこなう。 また、平成29年度が最終年度にあたることから、上記の分析結果と平成27年度からの学校調査(第一次調査)等により収集・整理した資料等の分析結果も合わせ総括し、地域社会の課題に対応した人権教育を基盤とした学校と家庭・地域の連携活動が教育コミュニティ形成を促進する要因としてもつ機能に関する研究成果をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に実施を計画していた学校調査(第二次調査)の対象地域の選定について、平成27年度における県下の教育関係者からの聞き取りで確認された課題の検討から、それらの課題がとくに顕著であるとみなされる市町に関して、教育関係者からの聞き取りを深化することとしたことから、学校調査(第二次調査)の本格的な実施時期が遅くなり、いくつかの訪問調査の実施が次年度に持ち越され、また、これに連動して、調査資料分析に係る経費の執行も次年度に持ち越すこととなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度に実施できなかった訪問調査とその資料の収集・分析を、早急に実施する。当初予定では、平成29年度の訪問調査ならびに資料の収集・分析は補足的・追加的なものと位置づけたが、その点を再構成して、次年度の調査研究の実施時期を年度の早い時期に再設定し実施する。また、次年度が最終年度にあたることから、資料の収集・分析や成果の総括についても、これらに係る経費を計画どおりに使用する。
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