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2018年度は、昨年度に実施した補足調査（自由記述を多用した探索的調査）の回答を参考にしながら、ネットワークメンバーとの交際の様子（子育てに関連した会話の内容や相談・支援の有無など）に関する質問項目について検討するため、改めて予備調査を行うとともに、それらの成果をふまえて第2次調査を実施した。また、これまでの調査結果に基づいて、論文1本、著書（分担執筆）1編、口頭発表1件を行うとともに、研究成果全体をまとめた著書の執筆を行った。
年度の前半は、昨年度からの課題であった、ネットワークメンバーとの交際の様子に関する調査の実施と分析を行い、ネットワークが行為者の学歴志向（子どもの教育達成に関する志向性）に影響する理由について検討した。その結果、ネットワークメンバーの側から行為者に対して規範的制約や資源が与えられるという従来から指摘されてきた側面だけでなく、行為者の側が自ら選択したネットワークメンバーの学歴や考え方（学歴志向）を意図的に参照することによって、自らの学歴志向を形成する側面（「準拠枠としてのネットワーク」の働き）のあることが明らかとなった。
年度の後半は、初年度からの研究結果を見直し、研究成果全体をまとめた著書の執筆を行った。その概要は、以下の通りである。教育格差に関する従来の研究は、親の社会経済的地位や文化的背景の影響に焦点化して理論的・実証的検討を行ってきた。これに対し、本研究では、そうした観点からは抜け落ちてしまう「かくれた背景」として、祖父母やオジオバといった親族の影響、および非親族も含めたパーソナルネットワークが行為者の学歴志向に影響することを、独自の調査を含む様々な調査データから明らかにするとともに、階層と教育研究の今後の可能性について論じた。
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