本研究は日本と韓国の間の社会的文脈の中で隣国の言語を学び、教えてきた在日コリアン、韓国人、日本人の高校教師たち、および教育現場を対象とした質的調査を通し、中等教育段階における日本語教育と韓国語教育の意味を考察したものである。日本と韓国の中等教育における第二外国語教育の制度は大きく異なるものの、教師たちが隣国の言語を学び、教える過程が自己、教室、学校、社会を変革する人間形成の過程でもあったという点には共通点があることが明らかとなった。この知見は英語以外の外国語教育が軽視される傾向にある日本と韓国の中等教育の現場において、複言語・複文化を身に付けた人材の育成の重要性を浮かび上がらせるものである。
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