研究課題/領域番号 |
15K04371
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研究機関 | 尚絅学院大学 |
研究代表者 |
黄 梅英 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (30458228)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教育型大学 / 卒業研究 / 教育実態 / 卒論の完成度 / 卒業研究の教育効果 / 卒業研究の評価 / 学士課題の課題 |
研究実績の概要 |
日本の教育型大学における卒業研究の教育実態に関する研究(人文社会科学を中心に)について、2017年度は主に学生のアンケート調査の分析と、インタビュー調査の追加・内容分析を行った。アンケート調査の(重回帰)分析結果から卒業論文の完成度は下記の要因に影響されている。 ①教育側の要因として、学生の卒業論文の完成度は3年次までのアカデミックライティングのトレーニングの有無・頻度、4年時の卒業研究での個人指導の回数と正の相関をもっている。②学生側の要因として、学生の卒業論文の完成度は高校での平均成績分布と正の相関、4年時の履修単位数と負の相関をもっている。 上記の分析結果は学生のインタビューからもある程度の裏付けが得られた。例えば3年時までの授業の中で小論文の指導、添削を受けた場合、また、社会調査やフィールドワーク、国内外の実習など(大学外主催のものも含む)のプログラムに参加した際に報告書が課されたり、指導を受けたりした場合、何らかの力が身につき、卒業研究を進める中でも活かされたというケースが幾つもあった。それに加え、高校の在学中に模試などのために小論文のトレーニングを受けたり、また入試形態によって特別指導を受けたりした学生の中で一定の力を身につけたと感じた学生もいた。つまり、卒研にかかわる基礎的な学習・トレーニングは重要であるといえよう。 一方、完成度の比較的高い学生は4年時に卒業研究のほかに履修する(しなければならない)単位数が比較的少ない者が多い。つまり、履修状況が比較的よくて、単位を落とされたケースがあまりない場合、卒業研究も比較的うまく仕上げている。そこから通常の授業での学習姿勢や成績が卒業研究の質も影響していると読み取ることができる。 上述の分析を通して教育型大学の卒業研究の教育実態は、学生と教員の両側の取り組み状況に影響されていることは明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2015年度から副学長に就任したことにより、初年度から研究計画通りに進めることができず、計画の調整をしたものの、その遅れをうまく挽回することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を当初の予定から変更し、一年間延長することにした。 今年度は遅れが生じた教員のアンケート調査結果に関する詳細の分析を行うと同時に、インタビュー調査の追加・内容分析を行い、研究全体の総括を進めて行く予定である。 また、今年度中に論文をまとめ、次年度の学会での発表も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
校務が多忙であるため、当初の計画に予定していた教員対象のインタビュー調査の数はまだ揃っていないため、それに関するデータの処理などの作業はまだ行っていない。それにあてた経費などは未使用となっている状態である。
2018年度では未完成の研究を行うように計画し、それに必要な経費(交通費、データ処理、謝礼など)を今年度中に有効に使用することにする。
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