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2016 年度 実施状況報告書

大学の教学部門を支える専門職に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K04376
研究機関大正大学

研究代表者

高野 篤子  大正大学, 人間学部, 准教授 (30513048)

研究分担者 日下田 岳史  大正大学, 質保証推進室EM・IRセンター, 助教 (30734454)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード大学経営人材 / スタッフ・ディベロップメント(SD) / アメリカ / イギリス / リーダー育成 / 専門職
研究実績の概要

本研究の第1の目的は,諸外国の大学における教学マネジメントを支える専門職たちの学内での役割とその採用・育成の方法を捉えることにある.彼らの組織内での位置づけや活動を体系的に検証することにより,時間や予算に制約が増し,かつ人員の削減や流動化が進みつつある日本の大学における教学支援の仕組みとそれを支える人材に関する知見を導出することを第2の目的とする.
日本では平成29年4月より職員のみならず教員も対象とした管理運営能力の開発という含意でスタッフ・ディベロップメント(SD)が義務化された.折しも国立大学法人千葉大学では教育・学習支援の専門性を養成するために教務・学務系の職員を主な対象とした履修証明プログラムが平成28年度に試行されている.こうした国内における新たな試みや,日本の大学の関連団体や個別の大学における研修についての情報を重点的に収集し,把握した.また日本の大学の管理運営に携わる職員は設置形態により異動歴やキャリアパスが異なるため,私立・国立・公立のそれぞれの大学関連団体で行われている現職者向けの研修を分析した.その結果,諸外国における大学関連団体の研修との共通点を見出すことができた.
あわせて,平成28年度はアメリカにおける現地調査で教学関連のIRや新たな教育形態とも言えるCompetency-Based Educationを支える教学部門の専門職たちの専門性や職務内容,雇用形態についてデータを入手した.さらにアジア諸国の大学の教学のリーダーの在り方や研修の体制について,イギリスとの比較検討を行いながら,マレーシアへの訪問調査を実施し,新たな情報を収集し分析を進めることができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度は,秋にアメリカ合衆国のカリフォルニア州に位置する私立大学,およびテキサス州に位置する州立大学への訪問調査を実施した.続いて春にマレーシアのクアラルンプールで開催されたリーダー育成フォーラムへの参加およびペナンのマレーシア国立高等教育研究所への訪問調査を実施した.アメリカの大学においては教学部門を支える専門職の職務と能力の高度化が進んでいること,マレーシア,タイ,台湾等のアジア諸国の大学の学長や教学担当副学長たちがアメリカやイギリスで学位を取得したり,教学改革の実行に欧米の教育産業を組織的に活用したりしている現状を捉えることができた.
こうした海外における現地調査と並行して,国内における動向も把握し,収集した文献・情報を整理し,少しずつ成果のまとめを行なった.

今後の研究の推進方策

引き続き研究課題に沿った国内外の文献資料を収集し,諸外国の大学におけるアカデミック・リーダーを支える専門組織の在り方と,専門職の仕事内容,能力開発等について比較検討を行う.これらによって得られた知見を公表し,さらに発展させるために,所属学会での口頭発表を行い,最後に報告書にまとめる.
研究代表者が人間学部教育人間学科教育・学校経営マネジメントコースの専任教員,研究分担者が教育開発推進センター総合IR室の専任教員という実践の場にいる強みを活かし,国内の動向も把握し考慮する.先行研究で指摘されている教員でも職員でもない専門的職員“blended professional”たちと,その活躍の場“third space”(Whitchurch 2009,Whitchurch and Gordon 2011)を確認し,整理していく.とりわけイギリスを軸として各国の教学の専門的組織および専門職における相違点・共通点の分析を試み,特徴を析出する.
そして,教学マネジメントの根底となる理念を明らかにし,教学支援の専門職たちの存在意義とその育成方法から日本の大学への応用の可能性を総括する.

次年度使用額が生じた理由

英米において複数の中上級レベルの専門職たちから評価されている大学プランナーの会(Society for College and University Planners)や人事担当の専門職団体(Chartered Institute of Personnel and Development)の年次大会やセミナーへの参加を予定していたが,研究代表者をはじめ研究分担者,連携研究者のいずれも校務で都合がつかず,渡英あるいは渡米し調査することができなかった.したがって,近隣諸国の現地調査に計画を変更し実施した.

次年度使用額の使用計画

最終年度(次年度)に文献資料の入手と報告書の作成、製本代に使用する計画である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 日本の大学関連団体による職能開発プログラム-私立-2017

    • 著者名/発表者名
      高野篤子
    • 雑誌名

      大正大學研究紀要

      巻: 第102輯 ページ: 165-176

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 1960年代の学生急増と,その後の施設整備に関する財務計画との関係2017

    • 著者名/発表者名
      日下田岳史
    • 雑誌名

      大正大学教育開発推進センター年報

      巻: 第2号 ページ: 印刷中

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 学士課程教育の質保証を目指したカリキュラムマップ検証の試み-教学IRの視点から-2017

    • 著者名/発表者名
      戸村理
    • 雑誌名

      國學院大學教育開発推進機構紀要

      巻: 第8号 ページ: 59-74

  • [学会発表] 米国高等教育における教職員の能力開発と組織開発2017

    • 著者名/発表者名
      高野篤子
    • 学会等名
      大学教育イノベーション日本
    • 発表場所
      東京国際交流会館(東京都品川区)
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-09
    • 招待講演
  • [学会発表] 大学の教学部門を支える専門職に関する研究-教学IRを中心に-2016

    • 著者名/発表者名
      高野篤子・日下田岳史
    • 学会等名
      日本高等教育学会
    • 発表場所
      追手門学院大学(大阪府茨木市)
    • 年月日
      2016-06-25 – 2016-06-25
  • [学会発表] 米国のリベラルアーツ・カレッジの経営に関する研究-スイートブライヤー・カレッジの閉鎖を巡る動向を事例に-2016

    • 著者名/発表者名
      戸村理
    • 学会等名
      日本高等教育学会
    • 発表場所
      追手門学院大学(大阪府茨木市)
    • 年月日
      2016-06-25 – 2016-06-25
  • [学会発表] 英米の大学職員について-日本との比較的考察2016

    • 著者名/発表者名
      高野篤子
    • 学会等名
      大学評価学会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道札幌市)
    • 年月日
      2016-05-17 – 2016-05-17
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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