2017年度は調査を継続しつつも調査結果の発信に力点を置いた。初年度および次年度の調査によって得られた、継承語としてのポルトガル語(PLH)の教育支援者、当事者および在留国社会における資産性に関する知見をブラジルの国際学術学会の大会でポルトガル語で発表した他、教育支援者のトランスナショナルなネットワークに参画することができ、今後の研究課題の着想にもつながった。国内においては日本移民学会で当研究を含む研究動向を大会シンポジウムにおけるシンポジストとして発信した。発表内容はいずれも既に論文としてまとめており、掲載済みである。さらに、2018年度にはポルトガル語の書籍の分担執筆が決定している。また、英語で発信することで当分野の研究者と成果を共有すべく、米国の研究雑誌に投稿を2018年度中に投稿する予定であり、現在最終段階のチェックを行っている。 2017年度の研究における最大の成果としてあげられるのは、国内でPLH教育を実践している教育支援者(主にブラジル人女性)のネットワーク構築の可能性が開けたことである。米国および欧州の実践から学ぶことができ、その日本における応用にむけて今後取り組んでいきたい。また、初年度および次年度で構築した研究者ネットワークにも参画することができたことで、外国語による研究成果の発信が具体的に可能となった。 課題として残っているのは、PLH教育を受けている当事者の調査が不十分であることと、国内の追跡調査である。
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