在外ブラジル人の継承語(ポルトガル語)教育の社会的資産性に関する比較研究を目的に、欧米日在住ブラジル女性教育実践者との交流や資料分析、教室の参与観察を行った。 実践者は継承語教育を通して子どもたちに単に出身国の言語や文化を伝えるのだけでなく、むしろ、移住者であるからこそ可能となる異文化間能力の養成を目指している。また、彼女らはこの教育を通して、在留国における自らのマイノリティとしての存在意義をも確認しており、継承語の資産性が教育実践者にも及んでいることが明らかとなった。特に欧州における継承語の社会的資産性に対する認識の広がりと制度的支援は、日本における継承語教育の制度化の参考となろう。
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