研究実績の概要 |
本研究は、マレーシアの国民統合へ向けて打ち出された「RIMUP:国民統合のための学生交流政策」について調査し、同プログラムの国民統合発展および国民アイデンティティ形成への成果、将来の可能性の各点について検証するものである。 これまでの現地調査(資料・データ収集、インタビュー)を通して、「RIMUPの成果、限界および将来の可能性」の分析を進めた。1)RIMUPは、野党および非マレー教育機関からも好意的に受け取られており、実施において大きな障害はなく、持続可能な将来性のあるプログラムであることが明らかとなった。2)RIMUPには3つの構造的課題「政府のManagementに欠点がある」、「プログラムの実施頻度が少なく、期間が短い」、「プログラムへの参加生徒数が非常に少ない」があり、これらの課題がRIMUPの効果を限定的にしていることが明らかとなった。 平成30年度は、7月にTaiwan Southeast Asian Studies Annual Conferenceにおいて、政府のManagmentに関する研究発表を行い、同月25th World Congress of Political Scienceにおいて、3つの構造的課題のRIMUPの効果への影響に関する発表を行った。また9月には、Association of Southeast Asian Studies UK 2018 Conferenceにおいて、RIMUPを含むこれまで教育政策が国民統合にどのように寄与してきたのかを発表した。平成31年3月に出版されたNational Identity, Language and Educationの第8章において、RIMUPの可能性について解説した。また、米国の出版社と契約が完了し、2019年度中にRIMUPの可能性を検証する書籍が出版されることとなっている。
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