研究課題/領域番号 |
15K04386
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
濱名 篤 関西国際大学, グローバル教育推進機構, 教授 (90198812)
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研究分担者 |
塚原 修一 関西国際大学, 客員教授_教育学, 客員教授 (00155334)
白川 優治 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (50434254)
深澤 晶久 実践女子大学, その他部局等, 特任教授 (60742658)
合田 隆史 尚絅学院大学, 公私立大学の部局等, 学長 (70724764)
山田 礼子 同志社大学, 社会学部, 教授 (90288986)
松原 茂仁 関西国際大学, 人間科学部, 講師 (60710259)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育プログラム / 高等教育政策 / 職業資格 / 産官学連携 / 人材育成 / 地方創生 / 職業実践力育成プログラム(BP) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地方に立地する大学の社会的役割の再定義をした上で、地域創生のための人材育成プログラムを開発し、新しい職業資格枠組みを提示することである。具体的には、「①政策検証」、「②実証分析」、「③新しい教育枠組みの構築」の3つの研究課題に取り組むことである。 2年目の平成28年度は、「①政策検証」と「②実証分析」を中心に実施したが、「①政策検証」については、履修証明制度と職業実践力育成プログラム(BP)認定制度の整理を実施し、全国の大学の取り組みをチェックした。また、アメリカの高等教育に詳しい専門家に「Competency Based Education」 について講演いただき、アメリカの大学における社会人向け教育などの状況を詳しく検証した。 その上で「②実証分析」として、愛媛大学、青山学院大学、東京電機大学、高知大学、ウイスコンシン大学、ブランドマン大学、テキサス大学について、訪問によるインタビュー調査を実施した。これらのインタビュー調査を基に、全国の地方大学へのアンケート調査の調査項目と調査書の作成に取り掛かった。 平成28年度は研究会を6回実施し、各大学への調査について多角的な議論と情報共有ができた。昨年度実施した岩手大学と合わせて合計8大学のインタビュー調査情報が蓄積されたことになり、人材育成プログラムや大学独自の資格についても、また関わるステークフォルダーについても、大学ごとに多様であることが検証できた。 これらの調査を基に全国の地方大学へのアンケート調査については、学長への質問とキャリア部門の担当者への質問を分けて作成し、大学全体の方向性と、実際の学生への教育における実態とを、詳細に分析することを目標として取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、「①政策検証」、「②実証分析」、「③新しい教育枠組みの構築」の3つの研究課題のうち、「①政策検証」と「②実証分析」を中心に進めることとなっていた。「①政策検証」においては、履修証明制度と職業実践力育成プログラム(BP)認定制度の実態を把握しその課題として、国立大学においては教育プログラムとしての単独収支はむしろ赤字傾向と評価でき、地域社会への貢献のエビデンスとしての機能を果たしていても新たの教育活動としての発展性は十分発揮していない状況であること、私立大学においては十分な広がりを持っている状況には至っていないことを明らかにした。 学習時間そのものより学修成果に着目し、遠隔教育を活用して発展しつつある教育プログラムであるアメリカの「Competency Based Education(CBE)」については、日本での応用可能性を検討するため、研究会において国内の専門家による講演を実施し、アメリカの政策の方向性と日本での発展可能性について議論し検討した。 「②実証分析」については、アメリカの3大学を対象にしたCBEに関する訪問調査と、国内4大学を対象としたBPに関する訪問調査を実施し、昨年度を含め合計8大学の調査が完了した。それらの知見については研究会で報告を行い、共有を行っているが、インタビュー記録の整理も最終段階にきている。 その上で、地方大学を対象とするアンケート調査については、調査票の作成において多くの議論を重ね、調査仮説を作成し、調査実施準備を進めている。調査対象については当初計画を修正し、三大都市圏を除外するとともに、地方大学については対象を学長及び担当者に拡大する。インタビュー調査での知見を調査票作成に反映させるために、調査票の作成については慎重に進めてきたが、最終準備段階まできている。 以上の通り、おおむね予定通りに調査研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、1)地方大学の学長等の経営マネジメント層と、2)インターンシップやキャリア教育担当者との、各大学2部門への質問紙調査を実施する。そして、収集したデータから、現状分析及び地域振興に向けて地方大学が果たすことができる役割についての意見等の分析を行う。その上で、28年度までに実施したインタビュー調査結果と、本年度の質問紙調査の分析を基に、「③新しい教育枠組みの構築」に取り組む。換言すれば、地域創生のための人材育成プログラムの開発と、新しい職業資格枠組みについて具体的可能性を示することを目標とする。 研究会において、これらの研究成果に基づき、分析結果の報告及び地域創生のための大学が果たすことができる機能についての再整理を行い、そのための必要条件についての整理、参考事例の提示、具体的施策の提案について議論を深め、研究取りまとめ作業を行っていく。 研究成果の公表としては、関連学会である大学教育学会の課題研究集会において、CBEについての研究成果の報告を行い、大学教育関係者に対する成果の公表に取り組む。また、研究成果報告書については、①国内大学における地域特性に則しての新たな教育プログラム開発の現状と課題、②アメリカのCBEプログラムの内容、方法、政策的インプリケーションについての訪問調査と資料分析に基づく現状と可能性、③地域創生のための人材養成に求められる能力,知識と地域創生のための条件、④地域創生のために教育プログラム開発の方向性等、を盛り込んだ構成となると予想している。報告書には併せて、インタビュー記録、調査票の集計結果、参考事例資料を掲載し、本課題についてのステークホルダーへの情報公開を進める予定である。 また、研究成果取りまとめ後においても、引き続き日本高等教育学会、大学教育学会等の関係学会での学会発表や学会誌への掲載に向けての投稿を行っていく予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費等について、研究会を東京ですることで、研究分担者の費用を抑えることができたが、その分が次年度使用額として生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に学会等での報告や、調査分析での活用を予定している。
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