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2018 年度 実績報告書

多民族・多文化国家シンガポールの美術教育における教育課程と国民統合に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K04391
研究機関北海道教育大学

研究代表者

佐々木 宰  北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40261375)

研究分担者 福田 隆眞  山口大学, その他部局等, 理事 (00142761)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードシンガポール / 多民族・多文化 / 美術教育 / 教育課程 / 国民統合
研究実績の概要

平成30年度においては,シンガポール国立公文書館に残されていた自治州時代の教育省シラバス・教科書委員会の議事録を調査した。自治州の成立とともに高まった統合意識が,美術教育の教育課程や内容策定の議論に反映されていることが確認された。
また,南洋理工大学Chinese Heritage Centre図書館において,自治州以前の華語系学校で使用された美術用図書を調査した結果,当時の華語系学校における美術教育に対する認識は,東アジア及び東南アジアの華僑・華人社会で共有されていたことが確認された。
1980年代後半から1990年代の教育省カリキュラム開発研究所(CDIS)の美術プロジェクトチームのリーダーであったYew Hock Banと面会し,1990年代初頭のシラバス策定と教科書の改訂における多文化主義の基本姿勢について確認した。また,1990年代に教育省の美術教科調査官であったCheong Fong Linに面会し,当時の美術教育におけるエスニシティの取り扱いについて説明を受けた。
南洋理工大学シンガポール国立教育学院の美術教育担当講師Kehk Bee Lianに面会し,2018年から実施されているシンガポールの小学校美術シラバスについて説明を受け,過去のシラバスとの関連性について明らかにすることができた。
これらを通して,シンガポールの美術教育では,中立的な西洋美術とともに,民族の伝統的な造形文化を教育内容に取り入れ,共通性と個別性の両側面から国民統合を図ろうとする手法が初期段階からとられていることが明らかになった。1980年代前半から刊行された美術教科書はこれを支える強力なメディアとして作用し,エスニシティの可視化を通して自国美術を創出するシンガポールの美術教育の機能が明らかになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 多民族・多文化社会における美術教育の機能:アジアの美術教育に見るエスニシティの可視化2019

    • 著者名/発表者名
      佐々木宰
    • 雑誌名

      美術科教育学会誌

      巻: 40 ページ: 203, 215

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 美術文化の四層構造から見る台湾近代美術2019

    • 著者名/発表者名
      王宇鵬・福田隆眞
    • 雑誌名

      山口大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要

      巻: 47 ページ: 201, 209

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] シンガポールにおける近代美術の四層構造と美術教育2018

    • 著者名/発表者名
      福田隆眞
    • 雑誌名

      山口大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要

      巻: 46 ページ: 209, 217

    • オープンアクセス
  • [図書] 美術教育学叢書2:美術教育学の歴史から2019

    • 著者名/発表者名
      美術教育学叢書企画編集委員会(金子一夫,福田隆眞他)
    • 総ページ数
      233(199―212)
    • 出版者
      学術研究出版
    • ISBN
      978-4-86584-395-8

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公開日: 2019-12-27  

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