研究課題/領域番号 |
15K04395
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
上之園 哲也 弘前大学, 教育学部, 准教授 (20735120)
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研究分担者 |
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40303482)
中原 久志 大分大学, 教育学部, 准教授 (00724204)
勝川 健三 弘前大学, 教育学部, 准教授 (30735098)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生活応用力 / 技術科 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,中学校技術・家庭科技術分野(以下,技術科)における生活応用力を育成するカリキュラムを開発することである。ここでいう生活応用力とは,技術科の授業で得た様々な経験,学習した内容知・方法知,培われた価値観を,家庭や学校,地域など技術科の授業以外の生活における様々な事象や問題に対し,技術的な見方・考え方,行動として適用する能力をいう。本研究ではこれまで,①生活応用力尺度の妥当性検討のための研究,②構想設計学習における構想を広げる学習の工夫に関する研究,③生活応用を促す教材,題材の開発に関する研究,④次期学習指導要領に鑑みたプログラミング学習のため題材とカリキュラムの開発に関する研究を行っている。①においては,技術科の学習に基づく,生徒の生活における工夫創造活動の構造が,技術科の4内容に関連する4因子と,生活における様々な事象を技術的な見方・考え方で捉え,思考・判断する活動の1因子の計5因子で構成されていること,そして,これら5因子には技術科の授業における構想設計学習に対する好意意識が因果していることが明らかとなった。②では①のような工夫創造活動を促す構想設計学習において,一つのアイデアに対して,拡大,縮小など,9つの視点でチェックして構想を広げるという,オズボーンが考案したチェックリスト法を導入し,試行的実践を行った結果,生徒の構想を広げることに一定の効果があることが示唆された。③においては,ビジュアル系言語とワンボードマイコンを用いた教材は,生徒が技術的な生活課題を解決することに活かし得る可能性のあることが示唆された。また,④においては,PADとBASICによるプログラミング学習は,生徒のレディネスには概ね合致しており,より効率的な計測制御学習を進めるうえで有効であることが示唆された。これらの成果について,日本産業技術教育学会全国及び東北支部大会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画2年目において,予定通り,マイコンを活用した「情報」の題材を開発し,教育実践現場において実践することで題材としての課題が整理できた。また,研究計画3年目に向けた「生物育成」と「エネルギー変換」に関する題材の開発もできた。これに加え,「材料加工」も含め,4内容を横断する題材設定とカリキュラムの構成を進めることができた。 しかし,栽培品種の選定と,これまでの研究で課題となった生徒の設計に対する意識構造についてはさらなる検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,学習4内容を横断する題材を用い,生活応用力の形成因果モデルに基づくカリキュラムを中学校2年生対象に展開する。その後,生活応用力の形成状況を把握するとともに,題材及びカリキュラムの評価をし,課題整理,考察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では,学習内容横断的な,題材に適した植物を選定するための栽培実験と,その結果分析を行っている。その栽培実験を引き続き29年度も行うため,28年度の3月から準備をする予定であった。しかし,28年度の消雪日が4月にずれ込んだため,翌29年度に持ち越すこととなった。また,設計に対する意識構造分析の前段となる,項目整理に時間がかかり,その分析作業は翌年度への持ち越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
栽培環境が整い次第開始する実験と設計に対する意識構造分析に充当する。
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