研究課題/領域番号 |
15K04398
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
川口 明子 岩手大学, 教育学部, 教授 (50466512)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 音楽文化 / 舞踊 / 楽器 / ガムラン / 教員養成 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、インドネシアおよび日本でガムランの現状調査を行うと共に、日本の専門家を招聘してガムラン音楽と舞踊を中心とする教員養成のための実習を試行した。具体的には以下の通りである。 1、インドネシア・西ジャワでの現地調査:研究代表者と研究協力者のガムラン専門家の村上圭子氏(NPO法人日本ガムラン音楽振興会代表)の2名で、バンドン市とスムダン市で調査を行った。インドネシアの小・中学校の芸術教育では、音楽・美術だけでなく、舞踊も重要な科目となっており、高校においても地域の伝統文化の重要性を踏まえた授業や活動(ガムランの課外授業等)が実施されていた。また、芸術大学ではガムラン実技はもちろん、楽器学の授業も重視されており、竹楽器の製作やメンテナンス等も含めての実践について、教員と情報交換し、新しい知見を得た。合わせてガムラン楽器工房も見学し、楽器の製作・調律法・メンテナンスについての基本情報を得た。 2、ガムラン音楽と舞踊をリンクさせた教材作成:ガムラン音楽は舞踊や芸能と結びついた総合芸術であり、音楽文化としての教材化が重要である。それゆえ、研究協力者として盛岡市在住のインドネシア舞踊家の阿部・アユ・イスカンダル氏を迎え、簡単な舞踊の基礎及び伝統的な衣装やその着付けの実習を行い、教材として衣装の着付け図と初心者のための舞踊のワークショップ・プログラムを作成した。 3、以上の成果を元に、岩手大学で教員養成における「ガムラン音楽及びインドネシア舞踊の体験学習」の実習を行い、岩手大学教育学部附属中学校と附属特別支援学校の生徒を対象とする出前授業を実施した。また、日本音楽教育学会東北地区例会においても「ワークショップ:教員養成のためのガムランと舞踊の教育プログラム」として発表し、参加者から音響・聴感覚・身体性の育成の可能性を指摘する有益な意見を頂いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画としては(1)文献調査およびガムランの伝承・学習法に関する基礎的研究、(2)インドネシアにて事前調査としてのフィールドワークの実施、(3)現地調査で収集した情報の整理とエスノグラフィーの作成・分析、(4)日本のガムラン専門家とインドネシア舞踊の専門家による実習の実施と教員養成における「ガムラン音楽及びインドネシア舞踊の体験学習」の案作成と試行を行う予定であった。これらをほぼ、計画通り実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1、初年度に専門家と協働して作成した試案を元に、音楽と舞踊をリンクさせた教材開発を継続して試みる。 2、インドネシアにて、研究代表者が8月末に約10日間の継続調査を行う。ジャワ島西ジャワ州都バンドン市を中心に、ガムランの伝承・学習、楽器製作とメンテナンスに関する現状を視察する。合わせて、ガムランと舞踊や人形劇等の総合性、ガムランと関連する竹楽器の調査も行い、それらを生かした教育の現状についても、現地の専門家と意見交換を行う。 3、インドネシアより専門家2名を約2週間招聘し、ガムラン楽器の演奏及び調律やメンテナンスの方法も合わせて学ぶ研究会や実習を東京と盛岡で行う。実習後、その成果をレクチャー・デモンストレーションとして発表する。 4、現地調査で収集した資料やインドネシア人専門家招聘による実習の記録をまとめると共に、学習法・指導法・メンテナンス法について分析・検討を行い、岩手大学での授業等で授業改善を繰り返しながら、教員養成課程でのガムランを活用した教育プログラムの開発を進める。
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