平成29年度は、研究計画を一部修正しつつも順調に進行し、3年目の総括として以下の研究を実施した。 1、8月に約2週間、研究代表者と研究協力者の阿部・アユ・イスカンダル氏とが、インドネシアにて継続調査を行った。西ジャワ州バンドン市において、ガムラン楽器のメンテナンス法やインドネシア舞踊の指導法について実習も含めての調査を行うと共に、スムダン市において8月17日独立記念日に催される民俗芸能や舞踊についても調査した。また、カリマンタンのバリックパパン市において、地域の伝統音楽・舞踊の教育について、中学校を見学すると共に、バリックパパン大学の教員とも教員養成についての意見交換を行い、多民族国家インドネシアにおける音楽教育の現状について、新しい情報や知見を得ることができた。 2.10月に約1週間、インドネシアよりガムラン音楽・楽器製作の専門家リスコンダ氏とヤナ・マルヤナ氏を招聘し、昨年に引き続き、東京と岩手大学にてガムラン音楽と舞踊、さらに竹の楽器チャルンとアンクルンの実習およびインドネシアの音楽文化と教育についての研究会等を実施した。 3.10月27日に、研究協力者の村上圭子氏・阿部・アユ・イスカンダル氏と共に研究代表者が、ガムラン音楽・舞踊・楽器をリンクさせた教員養成プログラムとして、岩手大学において教員養成課程の学生を対象とするレクチャー・デモンストレーション「インドネシアの音楽文化と教育:伝統と現代」を実施した。講師に来日されたリスコンダ氏とヤナ・マルヤナ氏を迎え、ガムラン演奏も東京よりパラグナ・グループを招聘し、古典と現代曲の生演奏により、伝統を土台にしつつ時代に即した変容を遂げているガムランの今を紹介した。国内外の人物交流により、多様な音楽文化の在り方を身体で体感し、音楽的な見方・考え方を働かせる学習となり、国際理解につながる視点・知見の深まりも見られ、大きな成果があった。
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