研究課題/領域番号 |
15K04403
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
佐藤 佐敏 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10510167)
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研究分担者 |
井實 充史 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20277776)
渡邊 州 福島大学, 人間発達文化学類, 特任教授 (40751756) [辞退]
澁澤 尚 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (60344826)
中川 祐治 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (70352424)
高橋 由貴 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (90625005)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国語教育実践交流会 / 福島国語の会 / 震災の風化 / 震災資料の教材化 / 福島のわらべ歌 |
研究実績の概要 |
本年度は、福島における地域の教育現場に根ざした教育ネットワークの緊密化と、教育実践を交流する場の安定化を課題とした。その中心的作業の一つは、「福島国語の会」の発展的な開催である。27年度の中学校部会と高校部会の実績を踏まえ、28年度は小学校部会を12月に発足し、3月までに4回実施した。各部会とも、多くの実践が交流され、研究分担者がその成果を整理している。 そして、これらの活動を礎とし、12月に福島大学国語教育文化学会にて、「東日本大震災後の福島における国語科教育モデルの構築」というテーマで、国語教育実践交流会を開催した。本交流会は、吉川芳則氏(兵庫教育大学教授)が「現職教員と研究者らでつくる国語科実践研究のネットワーク」という基調講演を行い、その提案を受けて福島県内の実践家3名がそれぞれの実践を発表した。この時、フロアから「東日本大震災の風化を防止することの是非」について意見があがり、活発な討論が行われた。国語科教育の教室においてその風化を防止するための学習活動を組織することには意味があるという意見があると当時に、その一方で今もなおそれを苦痛と感じる子どもがいることへの配慮をどう考えるかという問題提起がなされた。福島の各地域による事態の受け止めにおける温度差や個人ごとの被害格差等、今もなお難しい問題が残存していることが、本交流会で明らかになった。 このように、天災の被害に加え原発問題を抱える福島において、本問題を国語科教育で取り扱うことの困難さが前景化した。 また、福島における国語科内容学の開発という点では、震災に関する資料を収集するとともに、福島に伝わる民話などの地域教材の発掘を行った。その中で、「福島のわらべ歌を活用した授業実践」と「震災そのものを題材とした実践」について、上記の福島大学国語教育文化学会の国語教育実践交流会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「福島国語の会」により、福島県内の中学校教員と高校教員との連携・協働による国語科教員のネットワークが安定してきたと同時に、小学校教員との連携も図ることができた。ほぼ計画どおりの進展であるといってよい。それぞれ会の発足から、中学校部会は24回実施し、述べ445名の参会者を集め、高等部会は9回実施し、述べ127名の参会者を集めた。小学校部会は4回実施し、述べ91名の参会者を集めている。最終年度に向けて、それぞれの「福島国語の会」のさらなる充実を目指している。 また、福島における国語科内容学の構築においては、2つの実践を福島大学国語教育文化学会のシンポジウムにて発表した。同シンポジウムでは100名以上の参会者を集め、東日本大震災を題材にした国語科教育の在り方を討議した。このシンポジウムについては、当学会誌『言文』で報告している。 第3年次では、これまでの最終的な実践の成果を同実践交流会で発表する予定である。 以上のとおり、計画は全体としておおむね順調に進行していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、国語科教育ネットワークの安定化を図るため、これまでの成果を基に、「福島国語の会」の恒常的な運営体制を整備する。 第二に、昨年の実践をさらに発展させ、東日本大震災後の福島にふさわしい内容の教材開発を行うとともに、その実践を行う。殊に、福島大学国語科担当教員の各専門分野に応じて開発的研究を推進し、その研究成果を国語教育実践交流会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は国語科教育ネットワークの構築と国語科内容学に関する調査を並行して研究していく予定であった。しかし、国語科教育ネットワークの構築を先行させる必要があり、そのために予算を使用した。平成29年以降に、構築したネットワークを活用して福島における国語科内容学に関する研究を推進するように微修正した。この修正により、次年度以降、積極的に各地域に赴き資料を発掘する必要があるため次年度に使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
従来の使用計画どおり、研究の成果を発表する国語教育実践交流会における講師謝金や会運営のための費用として使用する。このほか、福島における国語科内容学を充実させる調査のための旅費や書籍費、物品費として使用する計画である。
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