研究課題/領域番号 |
15K04408
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
喜多村 徹雄 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60466688)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 鑑賞教育 / 地域資源 / 現代美術 / 地域アートプロジェクト |
研究実績の概要 |
群馬県立近代美術館で開催された「群馬の美術2017-地域社会における現代美術の居場所」(平成29年4月22日~6月25日)に、群馬の森公園にあった通称:陸軍岩鼻火薬製造所に関連する出来事を題材にした現代美術作品を制作して出品・参加した。群馬の森公園は、陸軍岩鼻火薬製造所の跡地に整備され、当該美術館も敷地内に建設されている。町史や当時の新聞をはじめ関連文献の調査によって確認した複数回の火薬製造所の爆発事故や、現地調査で確認した遺構や供養札などに着想を得た題材である。観賞行為を通して、戦時について考える契機を創出した。文献によれば爆発事故の被害は周辺地域に及び、現在も同地に建つ小学校も被害があったとされる。当該小学校では、伝え聞く当時のことが話題に上った他、地域新聞のコラムに当該作品などが紹介され、「戦争の歴史を経て生まれた私たちが学び、記憶し続けるべきことは何か」と問いかけた。また、簡単にではあるが、本作品は美術専門誌にも紹介された。 加えて、本題材を観賞した別美術館の学芸員から、別地域を題材とした教育普及活動への協力を打診されるなど、広がりを見せつつある。 上記のことから、研究の目的「2.地域を学習する」「3.学習者(鑑賞者)は社会化するのか」を満たした。しかし、美術館での展示であるため「1. 美術館と同程度の鑑賞機会を創出できるのか」は該当しない。 この実践の意義は、地域資源を活用した現代美術作品(鑑賞題材)を当該地域で鑑賞することを通して、地域を学習することが可能であること示したことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は「地域・地方で開催されるアートイベントという地域資源を活用して、美術館を利用して得られるのと同程度の鑑賞教育を実現する方法を研究・開発すること」である。平成29年度までに地域資源を題材にした3つの試行作品を制作し、大学・附属学校・地域連携事業のプロセスならびに学習効果の分析を完了している。当初計画では、平成29年度に授業題材を開発し実践する予定であったが、授業題材開発の協力を求めていた教諭の勤務校の移動に伴い当該年度に実施することが困難となったことから「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、地域資源を活用した授業題材の開発を行う。 自身が平成30年度前期期間中、海外での長期研修を行うため、この期間中は研究を中断せざるをえない。そのため帰国後の後期期間中に協力教員の新たな勤務校周辺の地域資源を調査し、授業題材の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本務校での運営業務の多忙および煩雑化、海外出張等に加え、協力教員の移動に伴い授業題材を開発することができなかったため。 次年度使用額は、授業題材開発費用に充てるとともに、地域資源が利活用されているアートプロジェクトおよび展覧会への調査旅費および資料集費用に使用する。
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