研究課題/領域番号 |
15K04413
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小池 研二 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (90528382)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際バカロレア / 美術教育 / 中等教育プログラム / ディプロマプログラム |
研究実績の概要 |
国際バカロレア(International Baccalaureate以下IB)中等教育プログラム( Middle Years Programme以下MYP)の改訂に関して,IBMYPの美術教育を中心に研究を行った。今年度はIBの連続性の観点からディプロマプログラム(Diploma Programme以下DP)の美術教育についても研究を行った。具体的には以下の通りである。 ①東京学芸大学附属国際中等教育学校(以下学芸国際中等)及び横浜国立大学附属横浜中学校(以下附属横浜中)での実態調査を継続した。学芸国際中等は,平成28年度よりDPコースが開始され,DPスタート時点から継続して授業分析を行うことができた。DP,MYP共に主体的・対話的で深い学びを実践していることが,授業参観等の現場調査,指導書等の文献調査,教員へのインタビュー等から確認された。②附属横浜中で,MYPを生かした美術科授業の実践研究を実施した。概念理解を重視し探究的な学びを行うIBMYPの学習を日本の学習指導要領にのっとって行い,生徒が美術について深く思考し,自身の問題として捉えるかをアンケート等によって分析をした。その結果,表面的には概念的に捉えようとしているが,深いところまでは捉えているとは言いがたいことがわかった。③海外のIB認定校調査として,シンガポールのThe German European School Singapore,UWC South East Asiaを調査した。DP展覧会や授業の調査,インタビュー等を実施した。また,IBの視点から,シンガポール国立博物館,国立近代美術館のワークショップ活動調査,担当者へのインタビューを行った。④研究成果として,①を中心に美術教育学38号に,②を中心に美術教育学研究49号に研究結果を掲載した。第39回美術科教育学会で口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1:IBの理論的な分析調査及び実践研究について。IBMYP及びIBDPの公式指導書等の文献調査を継続して実施することができた。特にDPについては2016年度第1回テスト実施用の新しいプログラムが始まっており,それらに関する文献を調査することにより,現在行われているDP美術科の内容について理論的な研究をすることができた。実践研究においては,学芸国際中等,附属横浜中で本格的な調査をすることができた。学芸国際中等では,DP開始時から授業参観等を行うことができた。附属横浜中では,IBMYPを生かした美術教育を全校生徒対象に行うことができ,アンケートも複数回実施することができた。 2:MYPを中心とした,PYP,DP,との一貫性に関する調査について。DPについて深く研究することができた。海外調査では,DP展覧会の設営,オープニング,展示まで,一貫して調査できた。 3:博物館等の社会教育施設での教育研究について。社会とつながる教育の実施を常に考えているIB的な見方から,シンガポールの美術館及び博物館を訪問し,具体的な内容について,調査できた。シンガポール国立博物館は今回2回目の訪問であり,前回との比較もすることができた。 以上のように,当初の計画に挙げた項目にそって,おおむね研究が進んでおり,学会での口頭発表,論文発表等も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は研究の最終年なので,報告書の作成,論文の執筆,学会での口頭発表等により,研究の成果を公表し社会に貢献する。現時点では以下の課題がある。①学芸国際中等での調査について,研究を継続するが,IB野美術教育の利点は何なのか具体的に検証する。対策としては,インタビューやアンケート等の実施,及びコンピュータソフト等を活用した妥当性のある成果を示す。②附属横浜中学校でのIBを生かした美術の学習について研究を継続するが,より具体性,客観性のある結果を示す。対策として,アンケート項目の一層の充実,コンピュータソフト等を活用する等が考えられる。③IBの実施内容についてより一層広範囲に調査を行う。対策としてはIB認定校,候補校をさらに調査してデータを収集し,分析して記録する必要がある。
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