研究課題/領域番号 |
15K04416
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
柴田 透 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (20242802)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 経済教育 / 公民 / 政治・経済 / 日本 / 高校 / 社会科 / 教科書 / 教科教育学 |
研究実績の概要 |
本研究は、学校教育の公民分野、特に経済分野の教育内容に対して経済学の各学派がどのように反映し影響しているのかについて歴史的分析を行い、その上で教育における方法について検討することを目的としている。 本年度は、昨年度の研究成果を、論文にして公表している。具体的には、柴田透「高校「政治・経済」教科書における学派の変遷」『経済教育』36号,78~82頁、2017年である。この論文では、以下のようなことを明らかにしている。一般的に,教科書はその学問分野の通説にもとづいて叙述されることが通例であるが,経済学においては,様々な経済学派が併存していることが特徴の一つであり,このことがどのように高校の「政治・経済」の教科書執筆に影響を与えたのか,そして歴史的にどのような変遷をしてきたのかを明らかにすると同時に,その変化についての仮説を提示し,検証もしている。この分析方法についても,従来の研究の方法の問題点を指摘し,その改善策を提案している。 さらに、本年度では、昨年度の先行研究の検討を踏まえて、従来の方法論の問題点を明確にし、それに対する改善の理論的検討を行った。これまでの方法では、価値対立にしても理論的対立にしても、教育的に取り扱う場合、それぞれを生徒に批判的に吟味させるが、その後どのように生徒自身が選択をしてゆくのかは、生徒にまかせる形になっていて、生徒がどのように選択してよいのか必ずしも明確ではないというのが、クリティカル・シンキングを応用した教育方法での問題点であった。この点を克服する方法的な改善についての研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の年度計画どおりに研究をすすめることができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、本研究の最終年度である。したがって、これまでの実証分析と理論的な方法論的な検討を踏まえて、実際の学校現場において教科書や扱う教材において実践的な可能性について検討し、まとめを行う。開発した教育方法について、学校現場での高校教員のアドバイスを受けながら、実践的な可能性について検討し、教材開発への応用についても改善を行う。それらの結果については、まとめて公表することにより、この問題に対する理論的・実践的な問題提起を行うと同時に教育方法の改善についての寄与を行う予定である。
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