フランスは、基礎学力を重視する指針から国語力の体系的な育成を目指す点でイギリス(前々年度(2016年度)研究調査のため訪問)と共通する。前年度、すなわち本研究の3年目にあたる2017年度には、フランスでの学習指導要領及び Handwriting の教師用指導書やテキストは、左利きの児童への学習指導をどのように扱っているのか調査検証するために、フランスに赴き文献を収集した。 本研究の4年目にあたる2018年度は、フランスにて蒐集した文献、具体的には、フランスの書字教育に関する指導書やテキストに関する考察を試みた。研究結果は関係学会にて口頭発表を行い、査読を経て学会誌への掲載が決定した。 フランスには、日本と同様に、全国的な教育課程に関する基準として、国の定める学習指導要領(programme)がある。当該の論考では、1989年「ジョスパン法」により学習指導要領が一貫して定められた1995年以降の『初等学校学習指導要領』の変遷と内容を、「言語とフランス語の習得」に着目しながら大まかにまとめた。また、フランスには教科書検定が存在しないが、各出版社は学習指導要領に準拠して作成した教科書を発行している。教科書の販売に特化した店舗を持つ、1888年創設の GIBERT JOSEPHにて、書字教育に関する指導書ないしはテキストとして高い販売部数を誇る書籍をご紹介いただき、これらの分析検討を試みた。 さらには、本研究の2年目にあたる2016年度に実施した実験、すなわち書字行為に際しての利き手と脳活動との関係についての、NIRSによる脳活動の計測及び解析データのさらなる蓄積と検証に努めた。
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