研究課題/領域番号 |
15K04428
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
裴 光雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60263357)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国際経済リテラシー / 日韓 / 教員養成系大学 / 設問調査 / 比較研究 |
研究実績の概要 |
本研究の前半部分、「日韓中の国際経済リテラシー調査」に関しては、2018年8月に韓国経済教育学会夏期学術大会に参加し、「日韓の国際経済リテラシーに関する予備的調査-教員養成系大学での比較研究-」というテーマで報告した。このような設問調査を実施した研究に対して、韓国側の討論者から有意義なコメントを得ることができた。なお、同報告原稿は『韓国と日本の経済・金融教育の方向』(2018 韓国経済教育学会夏期学術大会発表論文集、韓国語)225-238に収録されており、大阪教育大学初等教育講座発刊の『実践学校教育研究』(21) 61-68、2019年2月に日本語原稿が掲載されている。 この論文では韓日の教員養成大学における学生たちに実施した,国際経済リテラシーに関する予備的な設問調査の結果と今後の本格的な調査課題を明らかにした。具体的には、日本A教育大学,韓国B教育大学,韓国C師範大学の学生たち=予備教師たちに国際経済リテラシーに関する設問調査を実施し、各大学学生の全体正答率を導出して,その差異の原因について推論した。また設問別に,正答率の低い設問に関して原因を分析・考察した。最後に,予備調査から本格調査への今後の課題としては,設問調査対象者数の増加,設問数,設問の性格構成及び内容領域構成の再考,韓日の両国の状況にあった国際経済リテラシーの設問を韓日の経済教育研究者が共同で作成する必要性について論じた。 本研究の後半部分、「カリキュラム及び授業単元開発に関する研究」に関しては、前稿の「韓国における経済教育の新動向 : 2015改訂中学校社会科教育課程の経済領域を中心に」に引き続き、韓国の2015改訂社会科教育課程の経済領域および教科書分析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「概要」で論じたように、本研究の前半部分、日中韓の国際経済リテラシー調査に関しては、日韓では設問調査を行い、研究成果を発表している。中国での実施に目途が立っていない。 上述の遅延状況はあるが、それ以外は着実に研究は進展している。研究進展のための日韓の経済教育研究者たちの交流も昨年度は活発に行われた。日本と韓国の経済教育学会の大会で互いにシンポジウムの基調報告や分科会の研究報告が行われたが、本研究もそれに加わっている。 本研究は日韓の経済教育研究者による国際共同研究という性格を帯びていることを勘案すれば、目に見える研究業績以外に、目には見えないが、日韓の研究者が学会の大会を通じ、互いの研究成果を報告し合うことによる、研究者たちの学問的刺激や学問の国際性を高めるのに、少なからずも貢献したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
日中韓の国際経済リテラシー調査に関して、中国での設問調査実施が難しいという現状が解決できていない。日韓での予備的調査は既に行っているので、新しい中国側の研究協力者を見つけて、本格的実施するようにしたい。しかし、中国での設問調査の実施が難しいならば、現実的対応策として、日韓の枠組みで研究を仕上げることにせざるを得ない。夏休み前後を方向性決定の最終的リミットとして考えて、研究を進める。 カリキュラム及び授業単元開発に関する研究に関しては、日本の2017改訂中学校学習指導要領「社会」において、新たに登場した「交換と分業」に関連して、まず、国際貿易の基本的原理である比較優位をどのように教えるか、日韓はどのように教えているのかについて、研究を進めている。同時に小・中・高の生徒たちの国際経済リテラシーを涵養する、系列性のあるカリキュラム体系とは何かについても研究を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
日中韓の国際リテラシー調査の一環である、中国での設問調査ができなかったので、そのための謝金支出が未執行になったことによる。延長年度の今年度に支出する。
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