研究成果の概要 |
本研究により,図式期までは描画も立体造形の能力も同じように発達するが,中学年以降はそれぞれの媒体の特徴等により,立体造形能力は描画と比べ,表現としての発達が停滞気味となることが明らかになった。 又,描画においてモチーフの側面を想像させるなど,活動に特別の状況を設定することが子ども達の造形意欲を刺激することが分かった。さらに描画表現が得意なタイプ,粘土造形の得意なタイプ,モデルを見て描くことで表現が豊かになる,反対に表現の妨げになるケース,写実的な表現に長けたタイプ,対象をデフォルメして表現をするのが得意なタイプなど,同学年の子ども達であっても様々な表現傾向やタイプに分かれることが確認出来た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により,科学的な調査や検証が十分に行われて来なかった立体表現の発達段階について研究が進んだと言える。これまでは立体表現の発達段階は描画に準ずると想定されてきたが,小学校底中学年以前はそのような傾向が見られものの,その後はそれぞれの媒体の特徴により違ったものになっていくことが分かった。又,立体表現が得意なタイプの子どもが描画表現が得意であるとは限らないことも分かった。これらの研究成果により,立体表現と描画j表現の各発達段階に考慮した題材開発が可能になると共に,今後,その成果が子どもたちの造形タイプに即した指導方法の開発の手掛かりとなることが期待出来る。
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