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2016 年度 実施状況報告書

中学生の批判的思考力を育成する社会科授業開発に関する発達的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K04436
研究機関島根大学

研究代表者

加藤 寿朗  島根大学, 教育学研究科, 教授 (30274301)

研究分担者 梅津 正美  鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60284329)
前田 健一  岡山商科大学, 経済学部, 教授 (90101451)
新見 直子  広島文教女子大学, 人間科学部, 准教授 (40584280)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード社会科教育 / 批判的思考力 / 発達研究 / 中学生 / 社会的思考力 / 社会的判断力 / 授業開発
研究実績の概要

本研究の目的は,中学生の批判的思考力の発達に関する実証的データの収集と発達過程に基づく社会科授業モデルを開発することにある。具体的には,以下の3点を研究目的として設定した。①社会科授業を通して育成する批判的思考力の構成要素を明確にすると共に,生徒の批判的思考力の発達に関する調査と実験的授業の結果分析を行い,発達の様相及び認識・発達のメカニズムとその条件を明らかにすること。②中学生の批判的思考力の発達を促進(形成)する条件及び指導方略について実験的な授業を通して明らかにすること。③研究①,②の成果をふまえながら,発達に焦点をあてた批判的思考力を育成するための基礎理論を構築すること。
本年度は,上記の研究目的のうち,特に②に対応した研究を進めた。具体的には以下のような研究を行った。
(1)前年度の本研究で指摘された授業仮説(①中学校2年生から3年生の時期に,社会的判断や批判的思考を実際に経験することによって社会的判断力や批判的思考力を育成することができること,②社会的判断力育成には演繹的推論の育成が,批判的思考力育成には演繹的推論や社会的判断の育成がその基盤となること)について再度検討した。
(2)授業仮説に基づき,育成すべき能力の順序性と授業過程の解明を目的とする中学校3年生(136名)を対象とした実験的授業を実施した。
(3) 実験的授業の結果について,①相互に関連する諸能力を総体として促進しようとするとき,まずはどの能力に焦点化して育てればよいのか,②批判的思考力を育成するには帰納的推論,演繹的推論,社会的判断のどの能力に焦点化しながら,あるいはどのような授業過程で授業を構成することが効果的なのか,の2点を中心に検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

【研究実績の概要】で述べたように,本年度は,生徒の批判的思考力の発達を促進(形成)する条件及び指導方略に関する実験的授業を行った。実験的授業の目的は,次の2点である。
①育成すべき能力の順序性の解明:相互に関連する諸能力(帰納的推論,演繹的推論,社会的判断,批判的思考)を総体として促進しようとするとき,まずはどの能力に焦点化して育てればよいのか。
②授業過程の解明:批判的思考力を育成するには帰納的推論,演繹的推論,社会的判断のどの能力に焦点化しながら,あるいはどのような授業過程で授業を構成することが効果的なのか。
その結果,諸能力(帰納的推論,演繹的推論,社会的判断,批判的思考)の順序性に関するデータを収集する一方,授業過程を検討する上での実践的課題が残された。次年度は,この課題解決をねらった実験的授業の追試を予定している。

今後の研究の推進方策

これまでの研究の進捗状況を踏まえて次年度以降は次の研究を中心に行う。
(1)批判的思考に関する国内外の著書・論文・資料を収集・分析するとともに,中学生の批判的思考力の発達を促進(形成)する条件及び指導方略についての実験的授業を追試し,その結果を分析すること。
(2)中学生の批判的思考力の発達と形成に関する研究成果を学会等で発表し,意見を踏まえながら批判的思考力を育成するための基礎理論を検討すること。
中学校社会科の教育内容に即した形で実験的授業を進めること,また分析にあたっては心理学的手法を用いることから,引き続き研究代表者と研究分担者の緊密な共同研究体制を構築しながら計画・実施・分析という一連の研究を行う。

次年度使用額が生じた理由

【進捗状況】で述べたように,本年度は中学生の批判的思考力の発達を促進する条件及び指導方略についての実験的授業を実施し,その結果分析を行った。その結果,育成すべき能力の順序性に関するデータを収集する一方,授業過程の解明に関わって検討課題が残された。次年度は,この課題に焦点を当てた追試的な実験的授業を再度計画・実施し,その結果に基づいて批判的思考力を育成するための基礎理論を検討する。授業記録用機器等の物品購入やテスト問題の印刷費を次年度も必要とすることから予算を繰り越した。

次年度使用額の使用計画

研究の進捗状況を踏まえながら,【今後の研究の推進方策】で述べた研究計画に基づき,次年度の研究費は次の2点を中心に使用する予定である。一点目は,実験的授業の追試及び分析に関わる物品費・印刷費と授業分析のための研究打合せ旅費である。二点目は,研究成果の発表旅費や資料収集に関わる旅費である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 教員養成教育における社会科授業力形成-社会科教育関連科目の構造化と協働による授業力形成の省察-2016

    • 著者名/発表者名
      梅津正美
    • 学会等名
      2016年次韓国社会教科教育学会夏季学術研究大会
    • 発表場所
      韓国・大邱大学校
    • 年月日
      2016-08-06
    • 国際学会
  • [図書] 教科教育学研究の可能性を求めて2017

    • 著者名/発表者名
      梅津正美他
    • 総ページ数
      316
    • 出版者
      風間書房

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公開日: 2018-01-16  

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