研究課題/領域番号 |
15K04440
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
池田 吏志 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80610922)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 美術科教育 / 特別支援教育 / 複合研究領域 / 造形活動 / 全国調査 / 重度・重複障害 / インクルーシブ |
研究実績の概要 |
本研究は、美術科教育と特別支援教育の複合研究領域を創設することを目的としている。そのために、1年次は、1)前回科研(課題番号:24730738)「重度・重複障害児の高次の造形活動を導く指導原理・方法の構築に関する研究」の継続研究、2)全国の特別支援学校における美術の実施実態に関する質問紙調査、3)研究組織づくり、の3点を実施した。成果は次の通りである。 1)美術科教育学会が発行する『美術教育学』第36号に掲載された「重度・重複障害児を対象とした造形活動のアクション・リサーチ-衝動・不随意運動型の児童生徒の造形活動におけるQOL向上をめざして-」が、第13回『美術教育学』賞を受賞した。また、学会等の発表に関して、これまでは美術教育学系の学会での口頭発表が中心であったが、今年度は、特別支援教育系の学会である第53回特殊教育学会でのポスター発表、そして、広島大学教育学部特別支援教育学講座主催のシンポジウムでの成果発表、及びワークショップを行った。 2)平成28年3月初旬に、全国の特別支援学校(分校を除く970校)に在籍する美術を担当する教員(約2900名)に対して質問紙を送付した。質問項目は、週当たりの美術の実施時間数、指導上の問題点、研修の有無等、全27項目からなる。現時点で約760通の返信(回収率約26%)がある。 3)研究組織づくりは、美術科教育学会に平成26年度新設された「インクルーシブ美術教育部会」の部会員を中心に組織を編成した。研究成果の交流を行うとともに、役割分担や新たな共同研究テーマの焦点化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、計画していた研究がおおよそ実施できた。実績として、論文、論考、報告書を、学会誌に1稿、紀要に1稿、附属校が発行する雑誌に1稿、シンポジウム報告書に2稿公表できた。また、口頭発表等では、美術科教育学会での口頭発表、特殊教育学会でのポスター発表、研究方法に関するシンポジウムでの発表、通常学級でのインクルーシブ教育に関するシンポジウムでの口頭発表、及びワークショップを実施できた。また、全国調査では、約760通(回収率26%)の返信があったため、分析を行う上での一定の妥当性は確保できると考える。ただし、研究組織づくりでは、各メンバーとの交流と、今後の具体的な役割分担がおおよそ決まった段階である。
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今後の研究の推進方策 |
2年次の課題は、次の3点である。1)継続的に行っている「重度・重複障害児を対象とした造形活動」に関する研究成果を国内外の学会誌や雑誌、及び学会で発表すること。2)回収した質問紙の分析を研究組織のメンバーで協働的に行い、結果を公表すること。3)研究協力者を海外にも求め、国際的な研究組織を編成すること。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定していた計画はほぼ実施できたが、差額が38,089円生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
差額は、アンケート調査の入力経費の一部として使用する。
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