本研究は、特別な教育的ニーズを有する子どもを包含した通常学級での家庭科授業に焦点をあて、二次的な困難を防ぐため、家庭科授業のユニバーサルデザインの指導方法を提案し、さらに家庭科教員を対象とした家庭科授業のユニバーサルデザインチェックリストを作成することを目的とする。本年度の成果は次の通りである。 1.都道府県の教育委員会のHPに掲載されている教員向けインクルーシブ教育におけるチェックリストを収集・検討した。その結果、その多くが子どもの「実態把握のためのチェックリスト」であった。これによって子どものつまずきの実状を把握することは可能であるが、その子どもに応じた授業の在り方まで示しているチェックリストは少なかった。家庭科担当教師へのインタビュー調査によると、教師が求めているのは、子どもに応じた授業方法である。チェックリストが実態把握だけでなく、実態に応じた具体的な家庭科授業支援の方法までも含んだチェックリストの必要性が明らかとなった。 2.上記の結果をふまえ,家庭科授業における二次的困難を防止するため、ICTを活用した家庭科教員が使用できるユニバーサルデザインチェックリストを試案した。それを、タブレット端末を小・中学校の家庭科教員に貸与して活用依頼し、それに対する修正意見をインタビュー調査により把握した。その結果を踏まえ、チェックリストの構成内容、実用性の観点から修正し、家庭科授業のユニバーサルデザインチェックリストを開発した。
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