研究課題/領域番号 |
15K04446
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
吉田 茂樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (20737837)
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研究分担者 |
渡辺 春美 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (10320516)
武久 康高 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (70461308)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小中高の共通教材 / 段階的・系統的な指導 |
研究実績の概要 |
本研究においては、小学校・中学校に共通する「春はあけぼの」の学習指導の課題を、ア.音読や暗唱に終始し、読みに機能しない指導、イ.「昔の人のものの見方や感じ方」を知ることに繋がらない、書き換え(創作)を中心とした指導、ウ.内実が明確化されないままになされている「春はあけぼの」の「昔の人のものの見方や感じ方」の指導という3点に整理した。本研究ではこれらの課題を解決する方策を考案し、小学校・中学校の教員と連携・協働して具体的に学習指導案を作成して授業化を試みた。たとえば、イ.「昔の人のものの見方や感じ方」を知ることに繋がらない、書き換え(創作)を中心とした指導の克服に関しては、次のように取り組んだ。 (1)小学校 本文の「さらなり」「言ふべきにあらず」「言うべきにもあらず」などのキーワードによって、「(1) みんながいいと考えるもの」と「(2)作者が『これもいい』と思うもの」を識別し、「昔の人のものの見方や感じ方」の内実を把握する。 (2)中学校 『古今和歌集』の四季における典型的景物と「春はあけぼの」を比較し、「清少納言の表現の工夫①」(当たり前のもとはあえて取り上げない」ことを発見させる。また、本文の「さらなり」「言ふべきにあらず」「言うべきにもあらず」などのキーワードによって、「(1)みんながいいと考えるもの」(伝統的な美意識)と「(2)作者が『これもいい』と思うもの」(清少納言の美意識)が識別され、清少納言独自の美意識が強調されていることを「清少納言の表現の工夫②」(一般的に好まれないものを評価する)に気づかせることで、「昔の人のものの見方や感じ方」の内実を把握させる。 このように、小学校・中学校における学習の目的・内容を段階的・系統的に設定する指導を構想し展開した。本研究では、目的・内容の設定に、「春はあけぼの」を対象とする文学研究の成果を取り入れたことも大きな特徴である。
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