研究課題/領域番号 |
15K04448
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
草場 実 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (00737851)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 理科 / 観察・実験 / メタ認知 / 動機づけ / 方略 / 科学的思考力 / 動機づけモデル / アクティブラーニング型理科授業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中・高等学校の理科教育における観察・実験活動に着目し、生徒のメタ認知能力を基盤として、科学的思考力を育成するための学習指導法を開発し、その効果について実践的に検討することであった。本目的を実現するために、本年度(2年目)は、主として、以下の2点について検討した。 1点目は、実験動機づけを説明変数、実験方略を媒介変数、科学的思考力を目的変数とする因果モデル(動機づけモデル)を構成し、メタ認知の調整効果について検討した。その結果、メタ認知高群は、低群に比べて、実験動機づけと実験方略のすべての構成要素の自己評価得点が有意に高いことが確認された。さらに、メタ認知高群では、課題解決に対する自己効力感や実験活動の有用性といった利用価値の実感が、課題解決プロセスに関する意味理解的な実験方略の使用を促進させることが確認された。 2点目は、中学校理科において、アクティブラーニング型理科授業の事例開発を行い、介入授業を通して、生徒のメタ認知活動促進及び動機づけモデルにおける各変数の関係性の変容に及ぼす効果について検討した。その結果、開発された授業は、生徒のメタ認知活動を促進させること、さらに、自己効力感や利用価値といった実験動機づけの高まりから、意味理解的な実験方略を媒介し、科学的思考力の育成に繋がることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(2年目)は、初年度で整備された理科の観察・実験場面における生徒のメタ認知、動機づけ、方略を測定する項目を用いて、動機づけモデルに基づくメタ認知の調整効果について検討することができた。さらに、中学校理科において、生徒のメタ認知活動を促進する理科授業が、動機づけ、方略、科学的思考力を繋げることを実践的に検討することができた。しかし、一方で、当初予定していた、高等学校理科の介入授業については、十分に検討することができなかった。そのため、総合的な観点から、本年度についても、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(3年目)は、主として、以下の2点について検討していく予定である。 1点目は、本年度(2年目)に引き続き、メタ認知活動促進のための理科学習指導の実践事例を開発し、介入授業を通して、中・高校生の観察・実験に対する動機づけと方略及び科学的思考力の育成に及ぼす効果を検討する。このことを推進していくために、解析に必要なデータを収集できるように教育現場との連携・協力を図るとともに、統計解析に関する知識・技能を習得する。 2点目は、メタ認知に密接な関係があると推測されるワーキングメモリにも着目し、メタ認知との関係性や動機づけモデルにおける調整効果について検討する。このことを推進していくために、ワーキングメモリ研究の専門家及び教育現場との連携・協力を図る。 なお、本年度に得られた研究成果について、次年度の国内の理科教育関連学会において積極的に発表する。
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